高度経済成長と輸送力増強 第4話 三河島事故
Jan
7
死者160人、重軽傷者296人を出す大惨事、三河島事故でした。
当時の概要は、既に多くの記事等でご覧の方も多いかと思いますので、詳細な解説は省略しますが、貨物列車の乗務員が信号を見落として本線に進入、安全側線に突入したが止まりきれずにそのまま本線を支障、そこに上野発、取手行き電車(2117H)が接触 1.2両目が脱線して、今度は対向線を支障、乗客はドアを開けて線路沿いに歩きかけたところ、今度は、事故を知らされていない上野行き電車(2000H)が進入、徒歩で避難していた乗客を刎ねながら、上野行き電車先頭車と衝突、1.2両目を破壊しながら200H電車は4両が脱線、大破 1両目は原形をとどめず、2,3両目も築堤下に転落。
この事故で、2000Hの乗務員が死亡しています。
国鉄では、常磐穂三河島駅列車衝突事故特別監査報告書を6月14日に提出
それによりますと、 事故の原因として、貨物列車乗務員の信号見落とし並びに、駅および車掌などが後方業務の停止措置を怠ったことが原因であったとしています。
以下、本文から抜粋
事故の直接原因については、細部に不明な点もありますが、国鉄の調査に基づいて検討した結果、次のごとく推定される。
(1) 事故の直接の原因は、下り第287貨物列車の機関車乗務員が三河島駅の出発信号機の停止信号を確認せず、そのため列車が安全側線に突入脱線したことによる 。
この事故の結果を悲惨なものとした原因は、第1の衝突により 、下り第2117H 電車が上り本線を支障したが、約6分後進入してきた上り第2000H電車に対して、防護処置をなすべき関係乗務員および関係駅職員の行動に遺憾の点があったためと思われる。
当時の世論などは、どうだったでしょうか。
当時の部内誌の記事を参照しますと、当時の世論では、機関士の信号見落としは、業務に対する士気の低下では無いのかと言う精神論を討論調が大半を占める中、人間はミスをするものであるから、ミスを未然に防ぐための仕組みを作る必要と言う意見もあったと紹介されています。
昭和37年8月号の国鉄線の記事から引用させていただきますと。
三河島事故直後の世論は「職貝の士気の弛緩と訓練不足」と「保安施設の不備」を指摘するものがもっとも多く、そこから「国鉄に対する不信感」をかもし出したのであるが、東京・社説(六・一六)は「保安設備を改善せよ、といっているのも当然である。いかに安全運転を心がけても、施設が不十分では事故をなくすわけにはいかない。現状をみると、自動停止装置をとりつけているところは、東海道、中央、山手の各線ぐらいのもので、他の殆んどは相も変らず人間の手で行なわれている。人間の眼とカンに頼っていたのでは、いかに注意深い人間でも時として錯誤はまぬかれず、しばしば大きな事故の原因となっている。」と物心両面の安全確保を主張している。
結果的には、国鉄にしてみればATSなどの非常停止装置の措置は喫緊の課題となり、輸送力増強の投資に併せて、安全運行のための措置にも大きく予算を配分する必要に迫られるのでした。
なお、常磐線にあっては、ATS整備の他、常磐線用防護無線が整備されることになったのはご存じの通りです。
余談ですが、「ある機関助士」は三河島事故を受けて安全確保に尽力していることをアピールするための映像として依頼したのですが、国鉄の意向とは異なり一般公開されないままお蔵入りになった映像でした。
その後は、名作としての誉れが高いのは皆様ご存じの通りかと思います。」
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