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生産性運動(マルセイ運動)と国鉄 第一話

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生産性運動(マルセイ運動)と国...
話は、前後しますが。やはりマル生運動に関して、概要を書いておかないと延滞が見えなくなると思いますので、簡単に時系列を書かせていただきます。
生産性運動【マル生運動】とは
昭和45年4月から始まった運動で、昭和46年10月には中止に追い込まれた運動
簡単に時系列を示します。
昭和44年11月 運転指導者研修【試行的な生産性運動の導入】
昭和45年4月 生産性運動開始
この後、国鉄でも生産性本部だけでなく、生産性本部のカリキュラムに沿った形で生産性運動を開始
昭和46年 9月頃~国労がマスコミを使った反マル生キャンペーンを開始、
昭和46年10月 磯崎総裁、国会で陳謝、マル生運動は中止に追い込まれることになる

マスコミの論調は国鉄当局悪しと言う印象操作
下記のような新聞の論調が見られたので、一部引用します。
【国鉄線昭和46年11月号】
まず、二十四日、東京は社説で、「火の車の経営に苦悩する国鉄当局が、その改善のための一方法として生産性を向上させようとする事情は理解にかたくない。しかし、問題はその進め方である。国労、勤労を闘争至上主義として敵視し、一方、鉄労を協力的として保護するような印象を与えるならば、国労、動労の反発を招き、生産性向上の目的はとうてい達成できまい。・・・・国労、勤労を過激にさせた根因(根本の原因の意)には、公企体労働者の労働基本権が制限されていること、その制限に当局側が寄りかかって安易で一方的な労務政策を進めてきたことに対する不満の累積があることは否定出来ない・・・・」とし、「むろん国労、勤労にしても、その合理化反対闘争、たび重なるストなどには自省すべきであるが、とくに当局側の労務対策の姿勢転換を求めざるを得ない。」と主張している。

と言った具合で、国鉄当局が、国労・動労を一方的に敵視してきたことが根本原因であるという論調で書かれていますが、これは、正に国労が書いた原稿をそのまま丸写し、というか、国労の代弁をしている内容であったわけで、国労・動労は組織奪還費として当時の金額で約2億円を使ったとも言われています。
その辺は、「拝啓動労・国労殿」鷹書房から引用してみたいと思います。
少し長いのですが、引用させていただこうと思います。

国鉄労働組合員にしてみれば、ストライキで闘うのではなく、利用者に喜んで貰うことで結果的に自分たちの賃金を上げることができるという発想は、ごく自然に溶け込めていくものでした。
特に、昭和50年頃から、こうした考え方が民間では一般的となってきていました。
官公労だけが、昔ながらの昭和30年代のストライキ至上主義を抜け出せないままでいたのでした。
引用、ここから
それまで七万人台であった五つの組合の内、鉄労組織はグングン伸びだして、一時は十三万人を呼号するまでにいだったのである。
青くなったのは国労。そして、動労。
特に国労は、過半数組合さえあぶなくなるという見通しさえ出、当時の中川委員長は、「座して死を待つより、立って反撃に転じよう」と、戦時中、どこかで聞かされたような決意を披歴したものである。
なぜ、そうなったかというと、生産性教育が、"ストをやって賃金が決まるのではない。生産性の向上が賃金の向上につながるというあたりまえといえば、あたりまえのことだが、従来の”賃金は独占資本の手先である当局とわれわれとの力関係で決まる、強力なストを打ちぬくことによって高賃金をかちとらねばならない″
とする国・動労の理論を何の抵抗もなく受け入れてきた一般組合員にとっては、目を見はらせる理論を展開したことに、その真因があったのである。
 ”国鉄を良くしよう。職場を明るくしよう。お客に喜こんでもらえる国鉄にして、増収をはかろう。ムダ、ムリをなくす合理化をすすめて生産性を高めよう。そして労働条件を良くしよう。高賃金をもたらそう″
 これらのことが、干天の慈雨となって国鉄職員にしみこんで行った。5万人の管理者に勇気と情熱を与え、11万人の組合員がそれを受講し、労使ともども国鉄再建に向けて足を一歩踏み出そうとしていた。目ざめた職員が、スト偏重・闘争至上主義の国労や動労を離れて、鉄労に走ったのは、けだし当然といえよう。

引用以上

言わば組合員にしてみれば、今までの理論が180度変化したわけで、実際に国鉄各地で独自の運動が広げられて行ったわけです。

国鉄職員は純粋培養
国鉄という組織は、無いのは火葬場だけと言われるほど、外部との接触がなくとも生活できる環境が整っていたこともあり、純朴な職員も多かったとと言えそうです。
生産性教育を知って目からうろこであった職員が多くいたわけで、生産性教育を受けた仲間が自発的に駅を綺麗にする運動を始め、駅ホームのペンキを自発的に勤務時間外に行ったりして言った事例が多々ありました。
また、結果的に国労・動労を脱退して、鉄労に加盟する組合員も多かったのです。
下記のグラフがその実態を示していると思います。
国労前年比組合員増減
拝啓動労・国労殿から引用

続く


併せて下記を参照ください。

国鉄労働組合史詳細解説 34-1
https://whitecat-kat.hatenablog.com/entry/2015/09/27/121800

国鉄労働組合史詳細解説 34-2
https://whitecat-kat.hatenablog.com/entry/2015/10/12/225912

日本国有鉄道 労働運動史(別館)
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