デイリー新潮/81年ぶりに祖国に帰ってきた「日の丸」 米海兵隊員の子と孫が自費で来日、遺族に手渡す(Daily-SHINCHO featured Flag return in Hiroshima Prefecture )
Dec
19
1941年12月8日、日本海軍による真珠湾攻撃で戦争に突入した日米両国。開戦から81年の時を経て、象徴的な和解の場が訪れた。太平洋戦争時に米海兵隊員が持ち帰った寄せ書き入りの日章旗が、遺族に返還されたのだ。
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「2年前、父から“寄せ書き日の丸”を受け継ぎました。その時はまだ、この旗に込められた意味を理解していなかった」
そう語るのは、米ユタ州に暮らすクリス・ジョンソンさん(54)。海兵隊員だった彼の祖父は、太平洋戦争に従軍して生還。その時に持ち帰ったのが、漢字の書き込みだらけの日章旗だった。
「ある時、母が僕に『OBONソサエティ』の記事を見せてくれた。それを読んだ時に、自分たちがするべき“正しいこと”が何なのか分かったんだ」
出征兵士の無事を願って故郷の親族や友人が寄せ書きした日章旗を、多くのアメリカ兵が戦利品として持ち帰った。それらを日本の遺族へ返す米NPO法人が、レックス&敬子・ジーク夫妻が立ち上げた〈OBONソサエティ〉だ。
遺族は「伯父も喜んでいるはず」
彼らは広島に住む遺族を探し出すことに成功。12月4日、広島護國神社にて返還式が行われたのである。旗の持主は、南洋の激戦地ペリリュー島で戦死した明鎮憲登(みょうちんのりと)さん。遺族を代表して、妹の広田系子さん(84)と甥の明鎮俊成さん(56)が旗を受け取った。
「感無量です。これが日米の友好と平和の礎になってほしい。伯父も喜んでいるはず」(俊成さん)
クリスさんと父のリチャードさん(79)は返還のため自費で来日。二人ともクリスチャンだが、神社での返還式に備えて前日から神道の正式な参拝作法を練習した。
「キリスト教では、すべての人は神の創造物。だから私たちの考えでは、米国人も日本人もみんな兄弟なのです」(リチャードさん)
OBONソサエティはこれまでに400枚超を返還。なおも約2400枚の日の丸が、帰郷の日を待っているという。https://www.dailyshincho.jp/article/2022/12190600/?all=1