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合氣道練心館 館長所感集

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 合氣道 練心館道場
(別窓で練心館道場のサイトが開きます)

合氣道で人類の進化!ー平成30年鏡開き年頭挨拶ー

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今年の館長演武は座技をやりまし... 今年の館長演武は座技をやりました。地味ですが「動きの質」を高めるためには必須です。 女子中高生による演武です。この... 女子中高生による演武です。この子は居合道もやっているだけあって、なかなか姿勢が定まっています。 小学1年生と(幼)年長さんの演... 小学1年生と(幼)年長さんの演武です。堂々としっかりやってくれました。君たちこそ「進化した人類」です。がんばれ!





 いつの頃からか、鏡開きの年頭挨拶では「練心館道場の今年のテーマ」を発表するのが恒例行事となってしまいました。
 例年通り、今年も原稿などは全く用意せず、頭の中に大雑把にある内容を思い付くままにお話させて頂きました。

 以下、今年の鏡開きでの年頭挨拶を思い出しながら書き留めて置こうと思います。話の内容としては、鏡開き当日と、まあ、大体ほぼ同じ(?)になるのではないか・・・と思います。



 皆様、新年おめでとうございます。
 今年もこうして大勢の方々にお越し頂き、心より御礼申し上げます。


 さて、鏡開きに毎年来られている方は既に御存知でいらっしゃると思いますが、今回も例年通り「練心館道場の今年のテーマ」を発表させて頂きます。
 昨年のテーマは、確か「世界平和」でした。
 住宅街の片隅にある小さな町道場が、また随分誇大なことを・・・、と呆れてしまわれた方も居られるかも知れません。
 しかし性懲りもなく、今年も大風呂敷を広げさせて頂きたいと思います。


 ずばり、今年の合氣道練心館道場のテーマは、「人類の進化!」で行こうと思います。


 昔から(※特に子どもたちにとって)合氣道の稽古を通して得られる大切な素養として、「争わずに物事を処理し、争わずに問題を解決する力」が身に付く、というのがありました。
 合氣道の技は全て、「力まない」「ぶつからない」「争わない」、そして「相手と調和し」「相手を導く」、つまり「争わざるの理」によって成り立っています。そんな合氣道の技を繰り返し稽古することによって、理屈ではなく、心と身体を通して自然に「争わざるの理」が身に付いていくと言われていました。
 この「争わずに物事を処理し、争わずに問題を解決する能力」とは、真に社会のリーダーに求められる必須の素養であり、帝王学の神髄とも言うべきものであります。
(※参照 http://jp.bloguru.com/renshinkan/230219/2015-01-28 )
 
 昨今、子どもたちに競争ばかりさせ、他人を打ち負かし自分が勝ち誇る練習ばかりさせている傾向は相変わらず否めませんが、やはりそんなことでは真のリーダーとしての器は育ちません。

 いつも申し上げていることですが、世の中で、争って白黒はっきりと勝ち負けを付けることで物事が処理できるのはスポーツの試合だけです。それはやはり、スポーツというものが本質的にただの「遊び」に過ぎないからだと言えます。
 現実社会での国際間の様々な対立や紛争で、争って白黒はっきり勝ち負けを付けた所で、根本的に何ら問題は解決せず、却って未来に根深い遺恨を遺したり、憎しみや復讐心を増長させたりするだけなのは自明のことでしょう。
 もしも現実に、争って白黒はっきり勝ち負けを付けることで、何の遺恨もなく問題を完全に解決させようとするならば、突き詰めれば、対立する異なる立場の者を皆殺しにして根絶やしにする以外に方法はないのではないか?と思います。
 もちろん、そんなことは人間のすることではなく悪魔の所業です。
 それ故、争って白黒はっきり勝ち負けを付けることでしか物事を処理し問題を解決できないような人間が社会のリーダーになったり、一国のリーダーになったりすることは、人類全てにとっての悲劇だと言えるのではないでしょうか・・・。



 合氣道の世界では昔から言われている「争わざるの理」、「争わずに物事を処理し、争わずに問題を解決する力」ですが、この能力は、これから先人類が、どういった方向に進化すべきなのか、その「進化の方向性」を示唆する大きな指針となるのではないか?。昨年のある日、自分にふとそんなインスピレーションが降りて来ました。
 その直感は、まさに遠い宇宙、M78星雲の彼方からやって来たのかも知れません・・・、などと申しますと、皆さんの中にはぎょっとされて「とうとう館長はおかしくなってしまったのか・・・?」と心配される方も居られるかも知れません。
 まあ、安心して聞いて下さい。



 昨年は「ウルトラセブン」放送50周年ということで、地上波の「東京MX2」と「TVK」で懐かしの「ウルトラセブン」を放送していました。
 たまたま偶然、第1話を視たことから、何となく最終の第49話まで、とうとう毎週楽しみに視る羽目になってしまいました。
 この歳になって改めて視てみると、「ウルトラセブン」は一見、勧善懲悪の子ども向け特撮ヒーロー番組の様でいて、実は、色々と考えさせられる深いテーマを持った作品だったのだなぁ・・・と今更ながらに気付かされました。
 現在も第一線で活躍する多くのクリエイター達が、「ウルトラセブン」から多大なる影響を受けていると言われているのも、本当に頷けます。

 その中でも、自分が特に印象に残った忘れられない回は、第26話「超兵器R1号」と第42話「ノンマルトの使者」です。


 「超兵器R1号」はこんな話でした。
 地球防衛軍が一発で惑星を消滅させてしまう程の超破壊兵器「R1号」を完成させます。
 ウルトラ警備隊の隊員たちも皆、それが侵略者を威嚇し、地球の平和のための強力な抑止力になると手放しで喜ぶ中、ただ一人、人類よりも遥かに進化した宇宙人であるダン隊員(ウルトラセブン)だけは悩んでいました。
 超破壊兵器の開発は、結局は地球人類が、宇宙規模での恐怖と疑心暗鬼に囚われた軍拡競争のいたちごっこに陥ることであり、それはまさに「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」である、と。
 そんなダン隊員(ウルトラセブン)の思いとは裏腹に、「R1号」の爆破実証実験には、地球から遠く生物の住んでいないとされるギエロン星が選ばれ、ギエロン星は人類の手によって一瞬で破壊され消滅してしまいます。
 しかし、ギエロン星には本当は生物が住んでいたのでした。
 「R1号」の爆発のショックと放射能の影響で、その生物は巨大怪獣「ギエロン星獣」へと変異し地球へ復讐しにやって来ます。
 ウルトラセブンは地球人類を守るために仕方なく、大量の返り血を浴びながらアイスラッガーでギエロン星獣を惨殺します。
 右腕を引き千切られ断末魔の叫び声を上げながら、最期は喉を切られ力尽きるギエロン星獣の姿が本当に哀れで仕方ありませんでした。


 また「ノンマルトの使者」は、地球の先住民は「ノンマルト」で、人類こそが侵略者だったという衝撃的な話でした。
 攻撃的で好戦的な我々人類によって住む場所を追われたノンマルトは、海底を住処とし、そこで静かに暮らしていました。ところが、人類による海底開発が激化し危機感を覚えたノンマルトは、とうとう自衛のための戦いに打って出たのでした。
 しかしノンマルトは人類に比べて戦闘には余り長けた種ではなく、ウルトラセブンと地球防衛軍の敵ではありませんでした。
 ノンマルトの海底都市を見付けたウルトラ警備隊は、「もしもこれが宇宙人の侵略基地だったら放って置けない」と総攻撃を仕掛け、街を徹底的に破壊し、ノンマルトを絶滅させてしまうのです。

 この、海の底で正義と悪の逆転する結末は、後にガンダムの富野由悠季監督が手掛けたアニメ版「海のトリトン」の原点なのでしょう。
 まさに、世の中に「正義」程あてにならないものはない、「正義」などというものは、立場の違いや時代の変化、時の為政者の都合でコロコロ変わるということでしょう。「正義」の反対は「悪」ではなく「また別の正義」であり、我々に必要なのは「正義」ではなく「寛容」である、とはよく言ったものです。



 今回、改めて「ウルトラセブン」を視て思ったのは、セブンは心の奥底では地球人のことを「何とも未開で野蛮な種族」だと感じ、本当はそんな人類の浅ましさや粗暴さを見るにつけ、心底悲しんでいたのではないか?ということでした。
 現在の使命は「地球を守ること」かも知れないけれど、何百年かの後、また別の星を守る任務に就いた時、今度は侵略者としての地球人類と戦わなければならない時も来るのではないか・・・?、そんな一抹の不安も、心のどこかで抱えていたのではないかと思われて仕方ありませんでした。
 しかしウルトラセブンは、そんな「粗暴で野蛮な地球人類」を決して見捨てたりはしませんでした。最後は自らの命を削りボロボロになりながらも地球を守り続けたのです。
 地球人類には、果たして愛するだけの価値があるのかどうか?、そんなことはお構いなしにただひたすら愛し、守り続ける。
 これこそまさに「無償の愛」であり、これは「神の愛」ではないか?、とも考えさせられました。


 話が完全に「ウルトラセブン評論」になってしまったので元に戻します。


 真に人類が進化するとはどういうことか?

 それはAI技術が進歩することでも、誰もが体内にマイクロチップを埋め込むことでも、火星有人宇宙飛行を実現させることでも、ましてや軍事技術が進歩することでもないと思います。

 我々人類が「争わずに物事を処理し、争わずに問題を解決する」ことが出来るようになった時、私たちは初めて、胸を張って堂々と、本当に「進化した」と言えるのではないかと思います。
 それが果たして何百年後になるのか?、はたまた何千年後になるのか?は判りませんが、遠い未来、いずれ人類は皆「争わずに物事を処理し、争わずに問題を解決する」ことが当たり前になる日が来ると、自分は信じています。


 未だ人類が野蛮さから抜け切れていない21世紀のこの時代に、合氣道を通して「争わざるの理」を学ぶ私たちは、言わば「人類の進化」の先駆けだと言えます。
 このことを自らの自信と誇りにして、今年も稽古・修行を頑張って参りましょう!。


 合氣道練心館道場の今年のテーマは、「人類の進化!」。


 本年も、皆様からの温かなご支援を賜りたく、何卒、宜しくお願い申し上げます。
#ブログ #合気道 #武術 #武道

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