2000年度 4月 - 日本経済について
2000年4月13日
Mr. Tetsuya Takagi, President, T. T. International, Inc.
高 木 哲 也 様
日本経済は、80年代から、低成長時代に入っていたにも、かかわらず、低成長への対応ができず、バブルに走ってしまった。個人も企業も財テクに走り、地に足の着いたビジネス転換ができなかった。
90年代後半は、民間から改善の試みが出されているが、それに対応する行政制度の改革が進んでいない。松下が、退職金の前払いを決めたが、それに対応する税制には、まったく手が着いていない。連結納税は、2001年度からとなっていたのだが、腰が引けて、先送りになっている。
日本人のメンタリティーとして、ドラスチックな変化を好まないという特徴がある。今の日本は、自信喪失になっている。しかし、すべての日本のシステムが悪いのではない。バブルの前に帰って余剰を殺ぎ落とすことは必要だが、今のやり方は、間違っている。MITのリスター・サローは、「日本は必ず復活する」と言っている。経済面では、大きな問題は見あたらないが、政治制度に改善が必要。
選挙における、一票の格差問題で、神奈川と島根で、2.3倍の差があり、これが、合憲というのは、おかしい。
日本をよくするための提言
1) 納税者背番号の導入。架空名義の預金者が損をするので、実行できないでいるが、不公平感を無くすためには、必要。
2) 規制改革。規制緩和ではなく、改革が必要。
3) 高コスト体質の改善。本来下がっていいものが全然下がっていない。物価も高いが、名目賃金も高い。両者を一緒に下げることが必要。
4) ディスクロージャーが必要。政治、学校、警察を含む行政の仕組みの公開。
裁量行政からの脱却。
5) 法体系の整備。税制などの司法のインフラを整備しなければ、改革は進まない。
マネージメントにいる方への提言
1) ひとりひとりが、インディビジュアルとしての実力を涵養すること。自分の売り物、強みを持つこと。弱点をカバーしようとしないこと。弱点はほっておく。
強みを、売り物にすることで、いつしか、弱点が補われる。
2) 新時代における和魂洋才。明治の文明開化の時代、西洋文化を方法論として取り入れたが、日本人のよさは失わなかった。
3) 人間としての生き方における座標軸を持つ。日本人は1億の人口がいて、宗教を持たない、珍しい民族である。宗教を持たなくてもいいが、人生における座標軸は必要。アメリカ人と一緒に仕事をする時は、ぶつかり合いではなく、補完関係を作りあげるようにする。
4) 自らに与えられている専管事項を自覚すること。
a) その人でなければ、できないことをする。部下に委譲できることは、委譲する。プライオリティーを決める。会社の方向を明確にする。
b) 親会社、株主に対しての広報に努める。
c) リスクから逃げないで、決断する。リスクは、自ら負うのだと決断する。
5) 高い志を持つ。理想というよりは、自分はどんなビジネスマンであるのかを追求する。自分流儀のビジネスを進める。アメリカ型、日本型という類型化はナンセンス。経営者の使命感、倫理感を持つ。
以上
東
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昨日は 私達 「サウスベイ経営セミナー」のため、ご多忙中にもかかわらず貴重な時間を割いて講師としてご出席いただき、有意義なお話をありがとうございました。
私達アメリカでビジネスに携わっている日本人にとって、日米のカルチャー、パーセプションギャップには戸惑うことが多く深刻な問題です。今回のご講演では日米のビジネスの仕方、仕組みの違いについて、先生の永年のご研究・実体験をふまえた解説と、現実的なその対応についてお話いただき、大変勉強になりました。
グローバル・スタンダードと称する所謂アメリカスタイルのみに固執するのではなく、かと言って受動的な“NO”に終始するのではない、“YES”と言わせる論理性、説得力、実行力を身につけたマネジメント能力の必要性についてのお話はたいへん示唆に富んだ内容でした。国際競争の荒波の中で日本の進むべき方向、日本のマネジメントに対する5つの提言など、納得するところも多く、私達に対する貴重なアドバイスとして受けとめました。
今後も機会を作っていただき、またお話いただきたくお願い申し上げます。
どうもありがとうございました。
Mr. Tetsuya Takagi, President, T. T. International, Inc.
高 木 哲 也 様
日本経済は、80年代から、低成長時代に入っていたにも、かかわらず、低成長への対応ができず、バブルに走ってしまった。個人も企業も財テクに走り、地に足の着いたビジネス転換ができなかった。
90年代後半は、民間から改善の試みが出されているが、それに対応する行政制度の改革が進んでいない。松下が、退職金の前払いを決めたが、それに対応する税制には、まったく手が着いていない。連結納税は、2001年度からとなっていたのだが、腰が引けて、先送りになっている。
日本人のメンタリティーとして、ドラスチックな変化を好まないという特徴がある。今の日本は、自信喪失になっている。しかし、すべての日本のシステムが悪いのではない。バブルの前に帰って余剰を殺ぎ落とすことは必要だが、今のやり方は、間違っている。MITのリスター・サローは、「日本は必ず復活する」と言っている。経済面では、大きな問題は見あたらないが、政治制度に改善が必要。
選挙における、一票の格差問題で、神奈川と島根で、2.3倍の差があり、これが、合憲というのは、おかしい。
日本をよくするための提言
1) 納税者背番号の導入。架空名義の預金者が損をするので、実行できないでいるが、不公平感を無くすためには、必要。
2) 規制改革。規制緩和ではなく、改革が必要。
3) 高コスト体質の改善。本来下がっていいものが全然下がっていない。物価も高いが、名目賃金も高い。両者を一緒に下げることが必要。
4) ディスクロージャーが必要。政治、学校、警察を含む行政の仕組みの公開。
裁量行政からの脱却。
5) 法体系の整備。税制などの司法のインフラを整備しなければ、改革は進まない。
マネージメントにいる方への提言
1) ひとりひとりが、インディビジュアルとしての実力を涵養すること。自分の売り物、強みを持つこと。弱点をカバーしようとしないこと。弱点はほっておく。
強みを、売り物にすることで、いつしか、弱点が補われる。
2) 新時代における和魂洋才。明治の文明開化の時代、西洋文化を方法論として取り入れたが、日本人のよさは失わなかった。
3) 人間としての生き方における座標軸を持つ。日本人は1億の人口がいて、宗教を持たない、珍しい民族である。宗教を持たなくてもいいが、人生における座標軸は必要。アメリカ人と一緒に仕事をする時は、ぶつかり合いではなく、補完関係を作りあげるようにする。
4) 自らに与えられている専管事項を自覚すること。
a) その人でなければ、できないことをする。部下に委譲できることは、委譲する。プライオリティーを決める。会社の方向を明確にする。
b) 親会社、株主に対しての広報に努める。
c) リスクから逃げないで、決断する。リスクは、自ら負うのだと決断する。
5) 高い志を持つ。理想というよりは、自分はどんなビジネスマンであるのかを追求する。自分流儀のビジネスを進める。アメリカ型、日本型という類型化はナンセンス。経営者の使命感、倫理感を持つ。
以上
東
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昨日は 私達 「サウスベイ経営セミナー」のため、ご多忙中にもかかわらず貴重な時間を割いて講師としてご出席いただき、有意義なお話をありがとうございました。
私達アメリカでビジネスに携わっている日本人にとって、日米のカルチャー、パーセプションギャップには戸惑うことが多く深刻な問題です。今回のご講演では日米のビジネスの仕方、仕組みの違いについて、先生の永年のご研究・実体験をふまえた解説と、現実的なその対応についてお話いただき、大変勉強になりました。
グローバル・スタンダードと称する所謂アメリカスタイルのみに固執するのではなく、かと言って受動的な“NO”に終始するのではない、“YES”と言わせる論理性、説得力、実行力を身につけたマネジメント能力の必要性についてのお話はたいへん示唆に富んだ内容でした。国際競争の荒波の中で日本の進むべき方向、日本のマネジメントに対する5つの提言など、納得するところも多く、私達に対する貴重なアドバイスとして受けとめました。
今後も機会を作っていただき、またお話いただきたくお願い申し上げます。
どうもありがとうございました。