サウスベイ経営セミナー7月12日の記録
今回は、パイウオーターの太田さんの仲介で、ニューヨーク、ロサンゼルスで俳 優、タップダンサーとして活躍しているトニー・マサさん(44歳)をお迎えしま した。
自称「日本のフレッド・アステア」のマサさんのダンスとの出会いは、12歳の時、 東京福生市の米空軍基地内のダンス・スクールに通い始めたことでした。現在の アクターズ・ネーム「トニー」というのも、当時の、ダンスの先生のステージ・ ネーム「トニー・ゴー・ゴー」にあやかったものです。
日本でもプロの世界を経験した後、アメリカのダンス・コンテストの出場、「世界 大会」で第3位に選ばれました。いったんは、帰国するものの、アメリカに取り つかれてしまったマサさんは、すぐにハワイを経て、ニューヨークに行き、無一 文の状態から、仕事をしながら、ダンス・スクール、俳優学校に通いました。 ダンスのオーディションに行った時、「ダンサーはいらないが、アジア人の役者が 欲しい」と言われたことでチャンスをつかみ、タレント・エージェンシーが売り込んでくれるようになりました。
俳優の世界は、売り込み合戦という常識的な見方に反して、トニーさんの観察に よれば、ハリウッドのスター達は、自然体で、売り込みはしないそうです。「チャ ンスは寝て待て、自然のエネルギーが流れ込んでくる真中に自分を置けば、その 中に、皆が集まってくる」というのが、マサさんの考え方です。
日本人は、かなり高い水準のセンスを持った民族である、とマサさんは見ていま す。アメリカで舞台に立つ時、「ジャパニーズ、ナンバー、ワン」と言い聞かせて、 マサさんは、自分を元気づけることをしています。 しかし、日本やアメリカの日本人コミュニティーには、芸術家を育てていこうと いう姿勢がありません。これまでマサさんをバックアップしてくれたのは、ユダ ヤ人や黒人コミュニティーでした。 9月に公演を予定している「ア・ヒューマン・カタログ」は、マサさん一人で、 企画、キャスティング、スポンサー集めをしています。全日空のコマーシャルで、 顔が売れているマサさんは、日本人コミュニティーに売り込むのは、自分が動く のが、一番早いと判断したからです。
メゲそうになった時には、どうしているのか、という参加者(井出さん)の質問に対 して、マサさんは、「メゲたことがない」と答えました。
日本人は苦労話が好きだが、客が、役者のつらい姿を見て楽しむことはできない、 というのが、マサさんの考え方です。「努力はしているが、つらい努力はしない」 という行き方をしている方でした。 (了)
トニー・マサ 様
2000年7月13日
昨日は 私達 「サウスベイ経営セミナー」のため、ご多忙中にもかかわらず、貴重な時間を割いて講師として、有意義なお話と素晴らしいタップの実演をご披露いただき、たいへんありがとうございました。 本場アメリカのエンターテイメントの世界でタップダンサー、俳優として第一線でご活躍されているにもかかわらず、気負うことなく、自然体を保ちながら、前向きの明るい努力のもと、常にポジティブ発想で演技に取り組んでおられる姿勢をうかがい、たいへん感銘いたしました。
トニー・マサさんのお話により、アメリカのショウ・ビジネスでのプロ根性、プロ魂の何であるかを知らされた思いです。さらに、東(ニューヨーク)西(カリフォルニア)の違い、異人種コミュニティの実態と、接し方など、私達の日常からは知り得ないショウビジネスの世界やその裏側のお話は私達にとって興味ある内容でした。さすが経験者ならではの具体的・実際的な説明であり、私達がつい見落としがちなポイントを改めて再認識させられ、たいへん良い勉強になりました。また、ご披露いただいたタップの実演は、さすが目を見張る感動でした。
9月に向けて準備されているライブ・ステージ公演のご成功をお祈り申し上げます。
今後も機会を作っていただき、またお話いただきたくお願い申し上げます。
どうもありがとうございました。