異色のイベント、「室内ペイントボール」のゲーム大会。11月28日(火曜日)闘争心の旺盛な老若男女、予定よりも少ない12名が参加した。場所は、エルセグンドの倉庫街の一角にあるペイントボール・ゲーム場。当施設共同経営者の諸橋氏のご好意で、持参の食事と飲み物代を含めて一人当たり30ドルで施設の休業日を利用してSBMSメンバー専用利用の便宜を計っていただいた。
体育館程度の広さのあるゲーム場は、竹を張った塀や窓付きの陣地があちらこちらに配置してある。這いつくばって忍び行くことがし易いように、地表面は全面が柔らかい土で覆われている。場内の壁にもすべて竹が張られている。綿密な安全対策が施されてケガの心配も不要。ゲームに入る前に注意事項が書かれてある書類に各自が署名してから、諸橋参謀からゲームに望む前の説明を受け、玉(ペイントボール)と空気銃に似た銃とゴーグルを渡された。ゲーム場の傍には、試し撃ちができる部屋があり、そこで銃の使い方を会得する。パンパンパンと高く鋭い音と共に発射される青色の玉は、命中すると白い液体が破裂して着色する。これが衣服に付けば命中した印となる。この着色は水で簡単に落とす事ができる。玉は飛んで行くのがなんとか目に見える程度のスピードであるが、直接に肌に当たるとアザが残りチョット痛い。従って皆、ゴーグルで顔を被い、完全防備のイデタチとなって、ゲーム場に入る。中には審判が2名以上常に監視して戦況を見守る。ルール違反を2回やったら即刻退場の指令がでる。これも安全のためだ。ゲームの仕方は、決まっている方法とルールのものに、自分たちで工夫することもできる。
最初のゲームは、誰か一人が最後に残ったグループが勝ち組みとするゲームである。中に入ると、ヨーシ勝ち残るぞという気持になる。闘争心が少しずつ高揚してくる。敵と味方と半分づつに別れて、審判の注意を受けてから、作戦を練り戦闘開始。全員が四方に散る。ガキの頃の戦争ゴッコを思い出す。あの頃は鉄砲ではなく、木で造った刀で、赤胴鈴之助のマネをしていた。スグに、あちこちでパンパンと空気銃の音が炸裂する。隠れ家の窓からチラリと覗くと50メートル前方に人の影が見えている。スグに銃を構えて影に向けて連続発砲。なかなか命中しない。一旦窓から逃れて隠れたら、今度は相手が連続発砲してくる。頭のすぐ上を玉が数発通過して、ピッピッと短い空気を裂くような音となる。緊張が高まる。サーッと忍者?の如く場所を移動して身を伏せる。塀の隅から、別の人の影がチラリと見える。子供だ。子供でも敵なら止むをえん。パンパンと発射したら相手の銃に見事着弾。でも彼は当てられたと思っていない。ここでは銃に着弾した場合も敗者とみなし、「アイアムデッド。」と叫びながら、銃とともに両手を上げながら退場となる。敗者には銃を向けてはならないルールだ。と、すぐ横から敵のボールが数発ピッピッと身体をかすめてきた。敵が近くに来たと思って銃をかまえた瞬間、右肩にビッシと痛さが走る。 ヤラレタ。俺は死んだ。「アイアムデッド!」と叫び、両手を上げて退場。ゲーム場の外にでて見れば、中では残った敵と味方が1体1で最後の勝利を目指す戦いに挑んでいる。誰と誰だ!と見ていると、井出さんと徳留さんが敵と味方に別れて撃ち合っている。二人は長年の友人同士だ。ゲームとはいえ、お互いに容赦はない。パンパンと戦いは続く。暫くして、ピーッツと審判の笛の音。どちらかが着弾で、戦闘は終了したらしい。ゲームから出てきた二人は、接近戦の緊張からか、いささかグッタリとした表情。その中にもヤッタという笑みがあった。勝ったのは井出さんだ。曰く「接近戦は疲れる。もうこれでいい。」
第2戦は、相手グループの旗をどちらが先に奪うか。同じように半分に別れての戦いだ。今度は二度めだからどのように動けば良いかが少し分かっている。銃の使い方の要領もチョッピリガッテンがいく。ピーッと笛の音で戦闘開始。私の陣取りは敵の正面になった。「ヨシ、ここは援護射撃だ」と決める。相手の旗の背後にある要塞に人影が走る。パンパンパンパン。 アイアムデッドの叫びが聞こえてくる。早い戦死は犬死だ。自分は、要塞の窓に向けて連続発射を続ける。敵は動いている気配がない。さらに、あっちとこっちで、パンパン。すると、味方の一人が猪のごとく旗に向かって突進して行った。とても機敏な動きだ。あれは誰ダ。こんな所で死んだら人生の意味が無い。無謀なヤツ! しかし、彼は旗に飛びついた。スッテンコロリした手に旗がある。勝ったぞ。良く見ると若尾さんダ。「腰痛は大丈夫か。」
戦いは3戦目と続く。窓ごしのラウンジではゲームに疲れた戦士が、敵味方の分けなく慰労の宴をやっている。しかし、私はここで戦っている。ナンダ、これは天国と地獄か。パンパンパンと常日頃のウップンを晴らす。生きるための緊張感が知らずに生まれる。オモシロイ! 気分爽快なり。と思った一瞬に銃を持つ腕に痛さが走る。ヤラレタ!「オカアサン、アイアムデッド!」
そんな訳で、アッという間に時間が経過し、意外な緊張を体験してきたペイントボールであった。これは若者のスポーツである。しかし、今回活躍した戦士達は皆、以前の若者達であった。一見、皆、未だに元気で若く見える。大シタモノデアル。諸橋さん、休日のご協力に感謝、感謝。得難い楽しい体験であった。参加者が多かったら、もっと楽しかったであろう。
(土田)