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サウスベイ マネジメント セミナー( Southbay management seminar )は月一回のセミナーを中心に勉強し、時々に親睦をする、乃ち「よく学び、よく交友する」そのような会です。

2015年8月 著作権と著作権ビジネス 講師:山本信之氏

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日時: 2015年8月12日(水)、6:30PM - 8:30PM
会場: ニューガーディナ・ホテル
講師:山本信之(やまもと のぶゆき)氏
講演録担当:佐伯和代

講師略歴:
1966年生まれ、神奈川県出身。: Executive Vice President , HoriPro Entertainment Group, Inc.1989年 Berklee College of Music で、ミュージック・ビジネスを中心にしたプロフェッショナル・ミュージック科を卒業後、西武百貨店・文化事業部チケット・セゾン入社。TV局担当として海外アーチスト演目のプロモーションをサポートする。
1994年にバンダイグループの音楽制作とインターネット事業のためにニューヨークに駐在しながら音源のライセンス、アーチストプロモーションを担当、98年からバンダイ・エンターテイメントUSAに転籍し、アニメビデオのセールス&マーケティングを担当。
2001年にパイオニア・エンターテイメントUSAに転職し、アニメのサントラやポップアーチストのレーベルを立ち上げる。
2006年から現ホリプロ・エンターテイメント・グループの米国責任者に就任し、ナッシュビルとロスアンジェルスで⾳楽出版事業と音楽教育事業を展開する。

講演内容 ( 参考ビデオはこちらのサイトへ:https://www.youtube.com/watch?v=ivJZljEostE )

▪著作権とは、
音楽の場合:4種類の著作権印税
 1メカニカル印税:CD(iTuneなども含まれる)などが売れた時に作家に発生する印税 。  米国では法定レートで9.1cent/song 作家に払う。複数作家がいる場合は分配。(契約により異なる)
*最近では、歯を磨くと音楽が流れる『歯ブラシ』もあり、これも含まれる。
  *米国では、Harry Foxや音楽出版社が直接、日本では日本著作協会が印税を徴収する。
 2放送印税:公共の電波に乗り営利目的に音楽が使用された時に発生する印税。
*テレビ局、ラジオ局、パンドラなどが、米国ではASCAPやBMIなどに、日本では著作権協会に支払う。
*米国では作家がASCAPやBMIなどに所属しているため、放送局はその所属先を調べて支払う。

3シンクロ印税:テレビ、映画、DVDなどで使う際に発生する、ライセンス印税。
  *日本ではタイアップ(告知)として、無料になることがある。
  *米国では、告知があろうがなかろうが、支払は発生。作家の権利を守る。
   4出版印刷:楽譜を印刷する場合、歌詞、メロディーを印刷する際に発生する印税。
*この印税が音楽出版印税の一番はじめに作家に支払が生じるた印税。
*楽譜からレコード、CD、などに派生し、インターネットのストリーミング、そして次のメディアと共に新しい著作権に発展するであろう。
アニメ・キャラクターの場合:
1原作出版印税:ストーリー全体が作家の権利として、原作者に支払われる
 2キャラクター印税:キャラクターのデザインそのものにも権利が発生する。
例えば
●ベートーベンの第9:作曲された年数が法律の定める著作権の所有年数の範囲を超えているため公共の曲ということで、パブリックドメインとなっている。録音しても、演奏しても、著作権は一切発生しない。
●ハッピーバースデイ:放送で使用すると、全てメカニカル印税発生:ワーナーチャペル所有。
1890年に幼稚園の先生がGood Morning to you という曲を作り、1910年代になぜか
ハッピーバースデイに歌詞も変えられて、楽譜に印刷された1935年から法律上、印税が発生。
現行の法律では、2030年まで印税が発生。バースデイカードで開くとこの曲がなるカードもあるがこれももちろん印税が発生する。年間$2Millionを稼ぐといわれている。
●カラオケ:MIDIでカラオケ会社が作成したものは、原盤権はレコード会社にはなく、カラオケ会社にあることになる。だが、その曲の著作権は、オリジナルの作家にあるため、カラオケ会社は、著作権を支払う義務が発生する。
●日本の音楽出版社:米国では、日本のような著作権協会がないため交渉ができる。交渉次第では、 シンクロ印税のライセンス料などがアップする。日本では著作権協会が全てを司どるため、交渉がなく著作権協会の規定に従いそれぞれの印税が徴収され、それぞれの楽曲の出版社、作家に支払われる。
   余談:現在、日本でのCD販売における洋楽の割合は、1割で、邦楽が9割をしめている。
      日本では、音楽CDを売ることよりも、握手権付きや、サイン会参加抽選券など、CDに付随するもの目当てにCDを購入するため、CDが他のどの国よりも売れて
      いて、そういう理由で米国にはないタワーレコードがまだ存在する。

●アメリカの音楽業界事情:以前は、一箇所に集まり、何人かの作家が集まり、共作をしたものだが、最近では、 全世界にいるミュージシャンが自分のパートをそれぞれ作り、それをミックスして曲にするというパターンが通例である。以前は、個人ではできないことが多く、資金力のあるレコード会社なしにはレコードを発売できなかった。だが、テクノロジーの発展とともに、レコーディング機材が安価になり、自宅でスタジオで録ったのと変わらないクオリティーの音楽がプロデュース出来るようになった。レコード会社はというと、CDショップがなくなったため、営業がいらなくなり、雑誌も減りマーケティングもいらなくなりという状態が続き、最後に残るのは、A&R(アーチストを契約する人)とインターネット部門。だが、今残っている人たちもアーティスト契約をあまり結ばない。それはCDが売れない時代だから。アーティストを抱えても売り上げ目標が達成しない時代なので、いいクビの理由にされてしまうことから。最近は、韓国の「ハンナムスタイル」など、Youtubeなどでヒットする曲があるように、どれだけネットで話題になり、どれだけのアクセスがあったかでレコード契約やデビューが決まる。
●「Kiss」と「ももクロ」のコラボ:
日本の洋楽シーンは1割にもかかわらず、外国アーティスト達はそれが理解できていない現状がある。 そんな状況で、日本国内でCDを売るためには、Kissを邦楽にすることしかない。
テレビ出演をきっかけにKissのジーンシモンズが日本のアイドルとコラボをしたいと言い出した。 それをあるレコード会社に相談しに行ったら、 ももクロを勧められた。実は、Kissのコンサートと、ももクロのコンサートは音楽的にも、演出的にもアクロバティックさなど共通点が見出せるものがあったからだった。
Kissとももクロのコラボ:「夢の浮世に咲いてみな」
作詞:岩里祐穂、Paul Stanley 作曲:Paul Stanley、Greg Collins
こうしてコラボすることで、Kissを知らない人も「ももクロ」を通して知ってくれる。またその逆もある。

コラボを通して思ったのは、日本のものをアメリカで売る、アメリカのものを日本で売る時、それぞれの国の人が欲しいものを提供していくことが大切なのでは、と思う。押し付けでは売れない。いいんだから買って!ではなく、欲しいでしょ?という観点にポイントがあるように思う。

過去、現在、未来
音楽:音楽出版(楽譜)からレコード→CD→ダウンロード→ストリーミング→?
映像:VHS→DVD→ダウンロード→ストリーミング→?

アナログ→デジタル→ライブ
音楽は、形のないものを無理やり形にして売っている。これがひずみの原因では?なぜなら、
わざわざ付加価値をつけてうっているから。

音楽業界、映像業界が衰退し始めたキッカケは、デジタル化が当たり前になった時からではないだろうか。アナログの場合、コピーすると音質は劣化していたが、デジタルの社会になった今、コピーをしても劣化しない。

ポジティブに考えると、、ストリーミングだとかSNSでメッセージを発信できる今、お客さんとのコミュニケーションもダイレクトに出来る。アーチストが直接メッセージを全世界に伝えられるようになり、アーチストとお客さんの距離がとても近くなり、よりライブに行きたいと思わせるマーケティングが出来るようになった。ストリーミングは音が良くないので、ライブでの音が貴重となる。全てがリアルタイムで出来る今、もし、自分で音楽制作以外に、マーケティングできて、マネージメントも出来るのであれば、自分でやったほうがいい。

JAZZミュージシャンは、ほとんどレコード会社と契約せず、ライブで日常の糧を得ている。今後のアーチスト達は、そういう方向で活動することになるのでは、ないだろうか。

著作権法が変われば、全てが変わる: 音楽出版協会や関係者がワシントンでロビー活動をしていて、法律を改正するために動いている。現在、メカニカル印税は、1曲、9centのレートで70年以上変わっていない。レコードやCDは『もの』なので、制作コスト、倉庫管理など費用がかかるので、レコード会社に取り分が多くなるのはわかる。しかし、ストリーミングはそういった費用がかからないので、出版社にお金が回ってきてもおかしくないのではないか?というわけで、ロジカルに出版印税をあげるように動いていまる。7月現在の情報では、法律改正が出来そうだという情報もある。では、いつから施行開始?誰も言い切れないが、最低でも7年はかかるということであった。
最後に、みなさんのお子さんはレコードをみたことありますか?CDを買ったことがありますか?答えは分かりきっています。それが現実。そして、その人たちが音楽業界のお客さんのはずなのです。 時代の流れに逆らうのではなく、どうやって時代の流れにのりながら先を読んでいくか、ということが大切だと思う。
Q&A
Q:レコードが復活している? という話もありますが。
A: 確かにリバイバルしてきています。 音楽の流行りは10年サイクル。例えばBeatlesも10年   サイクルで話題になったり、人に聞かれている。また、ももクロやAKB48がわからないという   人がいますが、メロディーに感動させる力があれば、きっと残っていくはず。
Q:どうやって著作権登録をすればいいのですか?
A: 著作権の申請は、コピーライト・オフィス・ワシントン などで検索すればすぐ出てくる。   この申請用紙に必要事項を記入。曲名、作者、共作者、歌詞、メロディー、作曲日など。   そして、これが放送などにのることになりそうだったら、ASCAPやBMIに登録。
以上。
#2015年セミナー

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