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サウスベイ マネジメント セミナー( Southbay management seminar )は月一回のセミナーを中心に勉強し、時々に親睦をする、乃ち「よく学び、よく交友する」そのような会です。

2009年度 12月 - やさしい経済のお話

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2009年度 12月 - やさ... 2009年度 12月 - やさ...
日時
2009年12月9日(水)、6:30PM - 8:30PM
会場
ニューガーディナ・ホテル
講師:前川 嘉章(よしあき)氏

講師略歴

1984年、近鉄ワールドエクスプレス入社2001年退社時までに、日本、サンフランシスコ、ロサンゼルス勤務をへて世界の情勢を肌で感じながら、2001年、不動産、ローンライセンスを取得し、ワールド・スターズ・ファイナンスにてローンオフィサーとしての道を歩き始める。その後、バーリントン・キャピタルズや、インディマックバンクに勤務し、2008年、インディマックバンクの倒産により、金融社会のもろさと流動を体感。しかし、この時、既に2005年から不動産投資会社、Tricon アセット マネジメントデベロプメントにも従事し、現在、Vice President。また、WJ Bradley Mortgage Capital Corporationでは、ローンオフィサーとして活動中。

講演内容

1.そもそも金利って何だろう。   金利とはお金の価格ではない。
金利の概念は農耕が始まったときにできたと言われています。 種籾が無い貧しい農民は、来年の収穫を見越して、種籾をたくさん持っている 裕福な農民に借ります。収穫後、借りた分に上乗せして種籾を返した。 その上乗せ部分が金利と言うことになります。 要するに種籾の使用料です。
或いは、わかりやすい例で言うと、車をローンで買うとします。銀行で2万ドルを年利10%で1年ローンで借り、車を買います。借りたお金は自動車ディーラーに支払いますので、手元に残るのは、お金ではなく、自動車です。1年後に2万ドルキャシュで買ってもよいのですが、今すぐ車が必要なので、ローンします。 1年後に金利分2千ドルを元金と一緒に返します。 よってこの2千ドルは自動車を1年間使う使用料と同じです。
その使用料=金利はどの様にして決まるのでしょうか? 一般的には、需要と供給のバランスによって決まるのです。 誰も自動車をローンで買わなければ、金利は下がり、多くの人がローンすれば、金利は上昇します。 例えば、今後の景気に悲観的な場合、多くの人は銀行に預金する傾向が強い。そうすると、銀行では、借り手の無いお金を多く預かることになるので、高い金利を払うことができない。だから、景気が悪いと金利が低いのです。


2.本当の利回りを考える   保険や預金で億万長者になった人はいるのか?
金利が使用料で、その使用料は需給関係で上がったり下がったりすることは先に言いましたが、それでもまた、あやふやな部分が残っています。金利には、名目金利と実質金利があり、一般的にエコノミストたちが言う金利とは、実質金利のことです。かのジョージ W. ブッシュもこの実質金利が分からなかった。 
ある女性が金利10%で1ドル預金すれば30年後には20ドルになると言って猛烈に預金を始めました。しかし、彼女はインフレのことが分かっていなかったのです。ジョージW ブッシュと同じで実質金利が分かっていなかった。実質金利とは、名目金利(新聞に出ている金利、銀行が宣伝している金利のこと。)からインフレ率を引いた金利のことです。
例えば、名目金利が10%でインフレ率が7%のばあいは、実質金利は3%です。この3%で先の預金した彼女は現在の貨幣価値に換算すれば2ドル50セントしかもらえないことになってしまいます。  銀行預金の利回り、貯蓄型の保険の利回りも同じで、インフレ率を計算に入れないと、保険や預金で大金持ちになると勘違いしてしまうことになります。 先に、金利は需給バランスで決まると言いましたが、インフレ率が高いときは金利が上がり、低いときは下がるので、インフレ率も金利に大きく影響します。 景気がいい場合一般的にはインフレ率が高い。よって金利も高いのです。もしそうでなければ、銀行にお金を預けても、目減りするだけですから、誰も銀行にお金を預けません。 (ローンの残高も目減りします。)
保険も同じですが、保険は保障がついていますから、またすこし話がややこしくなります。 保険はあくまで、保障で選ぶべきだと私は考えています。
以上のことからわかるように、金利は、マネーサプライを管理する中央銀行が決めると思われがちですが、実は違うのです。マネーサプライに影響されると確実に言えるのは、唯一つ。それはインフレ率なのです。 今現在、マネーサプライは驚異的に増えていますね。 しかしインフレ率は2-3%のところをうろうろと言った具合です。景気の低迷でインフレ率が押さえ込まれています。ひとたび景気が回復基調に入るとインフレ率は急激に上昇するでしょう。


3.住宅ローンの金利は誰が決めているの?
さて、いよいよ私の本業である住宅ローン金利についてです。住宅ローン金利はどの様に変動し、誰が決めているのでしょうか?  まず、住宅ローンは米国では30年が基本です。固定、変動、Hybridなどありますが、いずれも30年間で支払いを完了させます。長期です。 よって、住宅ローン金利は長期金利です。 その基本は10年国債の利回りです。10年国債の利回りが長期金利の基本となり、それに連動しているのです。 国債を買うと言うことは、政府にお金を貸すことです。 例えば、信用が低い会社に貴方がお金を貸す、或いは投資する場合、低い金利では貸しませんよね。また、それぞれの会社の信用力をどう測るかも難しい。 よって、一番信用力のあるのは誰かと考えた場合、それは国だと言うことになる。国にお金を貸す場合の金利を長期金利の基本とすることになったのです。
次に、それはどう動くか?です。国力がある国の国債はよく買われます。また、株価が不安定な場合もリスク回避の意味から国債が買われます。よく買われると、金利が下がります。 高い金利を支払わなくても、皆が買ってくれるからです。逆に、国力の無い不安定な国の国債の金利は高くなくては誰も買ってくれません。 また、国債は元本保証です。 インフレになると元本が目減りしますので、その目減り分を補う為にも金利が高くないと誰も国債は買いません。 と言うことで、需給関係と共に、インフレ率、さらには海外勢がそのほとんどを購入している米国債は為替レートに影響されて変動しています。
もっと、具体的に見て行きましょう。 貴方が住宅購入をするとして、できるだけ低い金利で、低い手数料で借りたいですよね。 例えば、インターネットで調べてみると、いろいろな銀行 ローン会社が本日の金利として、魅力的な低金利を謳っています。しかし、貴方がその低金利、低手数料でローン借りられるかどうかは確実ではありません。 自動車ディーラーの 広告に良くある低価格のバーゲン車とよく似ています。条件を満たした方で、なおかつ早い者勝ち。  ローンはあまり、早い者勝ちはありませんが。
住宅ローンの一般的な仕組みは、リスクヘッジのため、各銀行はローンの債権を売り買いできるようなガイドライン(Fannie Mae, Freddie Macが決めている)にしたがってローンを審査しています。 ガイドラインに沿っていれば、政府系住宅ローン会社がローンを買ってくれます。 よって、ほとんどの銀行のガイドラインは同じなのです。 その条件のもとで金利が決まります。銀行が例えばFannie Maeにローンを債権として渡す場合の金利と言うものが在ります。その金利が実際のローンをする方の金利に影響します。同一条件の下では、ローン金利は同じ幅の中にあります。その幅の中、例えば、4.5%-5%の幅の中で、私のようなローンオフィサーが金利を決めて、オファーをします。 誰も、仕入れ値では物を売りませんから、そこには、当然、マージンの幅があります。 と言うことは、金利は値切れるのです。 日本では考えられないことですが、金利、手数料が値切れるなんてこともできるのです。  ですから、銀行によって金利が違ってくるのですが、大幅に低い金利はありえません。 もし、あるとしたら、そこには何らかの違う条件があるでしょう。 大幅に高いことはしばしば在りますが。 


4.賢いローンの選び方
今までの経験から言いますと、一般に得をしたい、と言う気持ちが強い方はローン選びに失敗するケースが多いようです。 金利は変動するものですから、もっと待てば金利が下がるのではないかと待ちすぎて結局金利が上がってしまう。 株式投資やギャンブルと似ていませんか? 良い条件の銀行を選ぼうと、多くの銀行、ブローカーに聞いてみて、結局、あまり良い条件でローンができなかった。 ローンの知識がかなりないと、銀行の金利、手数料、条件などを客観的に比べるのは難しいものです。
住宅ローンを申請する場合、以下の4つの方法が考えれれます。取引銀行の窓口へゆく。 不動産業者が推薦するローンブローカー、或いは銀行に問い合わせる。友人に聞いた業者に問い合わせる。インターネットで調べて、申し込む。 さて、貴方ならどうしますか? 
家は一生に一度の大きな買い物とは日本での話し。米国では、ローンの平均保有年数は平均6-7年。その間に家の買い替えか、ローンの借り換えをします。その場合は今までのローンはPay offしますので、また新たにローンをすることになります。 平均で生涯4-5回は住宅ローンを借りることになります。賢い選択をした人とそうでない人とでは、大きな差が出ます。 
ローンは借り換えするごとに、借り換え手数料が掛かります。できるだけ自分の人生設計に合ったローンで金利、手数料も考えなくてはなりません。特に、プログラムと金利をよく見ることですが、これには専門知識も必要です。

以上。
講義録担当:藤原 勝
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