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サウスベイ マネジメント セミナー( Southbay management seminar )は月一回のセミナーを中心に勉強し、時々に親睦をする、乃ち「よく学び、よく交友する」そのような会です。

音楽を仕事にするということ

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音楽を仕事にするということ 音楽を仕事にするということ
日時: 2010年7月14日(水)、6:30PM - 8:30PM
会場: ニューガーディナ・ホテル
講師:小川 弘子(小川ひろこ)氏
講師紹介者:武田 三郎氏
講演録担当:河合 将介

講師略歴

神戸大学教育学部音楽科卒業、同大学院修士課程修了。ザルツブルクにてイェルク・デームスの講習に参加する。現在、バイオラ大学音楽学部にてスタッフ・アカンパニストを務めるほかバレエ伴奏者、合唱指導者・伴奏者として活動している。羅府新報のコラム「音楽の散歩道」の執筆者でもある。

講演内容

【はじめに】:
ビジネス関係者が殆どのこの会で講師として、どれだけ有意義な話を出来るかは疑問ですが、どんな内容でも良いということでしたので、お引き受けしました。    音楽は、世の中の殆どの人にとっては、ただの“楽しみ”であり、余暇の時間に楽しむものでしょう。私のように、これを仕事にするということは別になります。時々「趣味と実益を兼ねていていいですね」といわれることがありますが、私にとって音楽とは趣味ではありません。真面目に仕事として取り組んでいるもので、皆さんがビジネスをなさっているのと同じことです。今日は、私が音楽という仕事にどう取り組んでいるかということをお話させていただきます。

【Ⅰ】音楽(ピアノ)との出会い
1、私は子供のときからピアノをやっていました。仕事としては合唱の指導をしたり、伴奏したりしていますが、本来はピアノが専門です。そういう意味では、子供の時から好きなピアノが出来てよいですね、といわれれば「はい、おかげさまで」と返事をします。自分は少なくとも好きでやってきたことを仕事にしているわけです。
2、自分は好きなことに若い(幼い)頃にめぐり合えてラッキーだったといえましょう。
3、私がピアノを始めたのは5歳くらいの頃でした。ある日気がついたらピアノを始めていた。これは母が私に始めさせたのです。当初、私にとってピアノより友達と遊んだほうが楽しいので練習は嫌いでした。私の場合は「やむを得ず」やっていたわけでした。でも、後になって考えてみるに、飽き性の私が、いやいやながらピアノをやっていたというのは、結果として嫌いではなかったからでしょう。
4、私はピアノを将来ともに自分の仕事にしようと思ったのは小学校4年生の頃でした。ただし、際立って才能があったわけでもなかったのですが、何となくそう感じていました。私の母は典型的な専業主婦であったので、私は母のようにはなりたくない、自分の手に職をつけて自立できるようになりたかったからでした。

【Ⅱ】音楽漬けの学生時代と再入学
1、大学の音楽科にはいり、学生時代の4年間は何も疑問を感じないまま音楽漬けの生活でした。
2、大学を卒業した時代はバブルの絶頂期であったので、企業への就職は楽な時でした。私の周囲で音楽漬けだった友人達も殆どが一般企業へ就職しましたが、私はそんな就職は一度も考えませんでした。しかし働かなければならなかったので、大学の先生に紹介されて、付属小学校の非常勤講師をしたり、単発で伴奏を勤めたりしていました。
3、ところが1年で非常勤講師を解かれ、一時やむをえず、つてを得て小さな会社へ就職しました。仕事自体はそれ自体、やり甲斐もあり楽しかったのですが、まわりに音楽の話を出来る人がいないことが淋しく、ひたすら音楽のコンサートなどに行きまくった時代もありました。自分にとって音楽は必要なんだと気付いたわけです。
4、結局、会社を退職し、社会人として大学に再度入り、音楽の世界へ戻りました。たいへん充実した3年間を過ごしました。そしてここまで音楽をやったのだからこのままでは許されない思いになり、単発ですが仕事も増え始めていましたが、突然ロサンゼルスへ移住することになりました。

【Ⅲ】ロサンゼルスにおいて音楽で仕事につくことの困難性
1、ロサンゼルスへは1997年11月来ました。これまで日本で築いてきた音楽ネットワーク、先生とのコネクションなどはご破算になってしまいました。
2、でも、こちらへ来る前に、当地では音楽以外の仕事はしないと固く決めていました。その気になれば仕事はいくらでもあったのですが、私は音楽に固執することにしていました。当時はまだ英語も完全ではなかったし、コネもなく、なかなか仕事は見つかりませんでした。一時は日本から持参したCD(シューマン作曲、ピアノ五重奏第3楽章など)を夜中にひとり淋しく聞くだけでした。そのくらい自分は音楽を求めていたのでした。
3、そもそも音楽関係の仕事は世界中どこでもそうあるものではありません。音楽関係の大学は世界に数多くあり、卒業生はもっと数え切れないわけです。その中からマスターになる人がいて、またドクターになる人も最近は増えています。それに対し仕事数は少な過ぎです。一例を示せば、私は今、バイオラ大学音楽学部にてスタッフ・アカンパニストという仕事をしているのですが、そこで2,3年前に常勤のピアノの教授に1名欠員ができ、募集したところ、130人応募し、その全員がPHD(ドクター)の資格を持った人でした。ということは130人のPHDのうち、129人は仕事に就けなかったのです。
4、今、アメリカで常勤の仕事をえるためにはPHDを持つことは不可欠です。そのPHDを持っていてもこのような状況です。
5、私の場合は日本でマスターを取得していましたが、来た当時はまだ言葉が完全でない、車も運転できない、コネはないなど“ないないずくし”で、仕事はありませんでした。
6、今、私が仕事を見つけ出しているのは、最初は羅府新報の求人欄に載っていた合唱団の伴奏者募集でした。小さな合唱団でしたが何でもいいから始めないと、という気持ちでした。

【Ⅳ】チャレンジ、レスペクト、そして満足感を求めて
1、ただ、私としては、折角アメリカへ来たのだから日本人の社会だけで仕事をするのではなく、インターナショナルな社会で仕事をしたいという気持ちでした。幸い音楽の世界は世界共通な部分もあるので通ずるところがあります。
2、今、私はバイオラ大学というところでスタッフ・アカンパニストをしているのですが、そこを紹介してくださった方も日本人の方を通じてでしたが、そのバイオラ大学に行きだすと、仕事に対し、日本人と違う感覚に出会うことが出来ました。時間とお金にたいへんドライであって、私にとってやりやすい感じです。
3、私としては現状で満足ではなく、もっと新しい仕事もしたいと思っています。仕事の内容にチャレンジがあって、レスペクトされる仕事をしたい。皆さん何かありましたら紹介いただければ幸いです。
4、音楽が嫌いな人は少ないでしょう。音楽によって癒されることは多いでしょう。ただ、これが仕事となると結構たいへんです。私のようにアカンパニストの立場ですと、学生によっては気楽に自分がパフォーマンスする3日前くらいに楽譜を持ってきて「先生、これ3日後だからお願い!」なんていわれることもあります。この要求に応じるのは時としてたいへん苦痛です。絶望的になることさえあります。でもまた、その苦痛を克服できたときの充実感も他では味わえない満足感なのかもしれません。

【Ⅴ】音楽の素晴らしさ
1、本当はこの講演会の場所にピアノがあって、ピアノを弾きながらお話できれば、音楽の素晴らしさを直接、皆さんにお伝えできるのですが・・・。
2、去年の7月10日にLAダウンタウンのディズニー・コンサートホールでベートーベンの第九の演奏会をいたしました。今日お集まりの皆さんの中にも何人かお仲間がいらっしゃりますが、素晴らしい会となりました。
3、日本では年末になると第九の演奏はポプラーで、多くの経験者が参加されますが、それでも通常は丸1年かけて準備をし、練習を重ねるのですが、当地では7月の本番に対し、練習は前年の11月半ばでした。ただでさえ日本と違いメンバーには経験者が少なく、参加予定者の殆どが楽譜を読めない、ドイツ語が出来ないので、指導者側は無理だろうという意見でした。でも、一生に一度の経験だから歌いたいという人々の集まりで、前半4ヶ月は試行錯誤の連続でした。
4、当初は一般の応募者に加えてエキストラ(ある程度経験のある学生など)を呼ぼうということだったのです。それが結果的には吃驚するくらい上手になり、エキストラも不要となり、充分歌えますということになりました。
5、私もこれまで、数え切れないくらいコンサート、オペラなどに行きましたが、この時くらい感動的なコンサートは初めてでした。これも自分が関係したからということもありましたが、ゼロから始めた人達がこんなに楽しそうに歌っているんだと思うと感動以上の喜び、興奮が沸き起こり、参加した方達も感じてくれたのではないでしょうか。
6、このコンサートを無事済ませたからといって、のちに楽譜が読めるようになったというわけでもなし、ドイツ語がぺらぺら出来るようになったわけでもないのですが、ただ、その日の歌いたいがために一生懸命やった人たちが、あんなに嬉しそうに歌っているかと思うと、本当にやってよかった! という満足感でした。
7、ゼロから始めた人達は150人位いましたが、この人たちにゼロから教えるというチャレンジがあり、一生懸命練習してくれるという私に対するレスペクトがあり、最後に大きな感動を私に与えてくれた満足感があり、これこそ音楽に携わった良かったと思った瞬間でした。その夜、私は興奮して寝付かれませんでした。

【Ⅵ】音楽を好きになろう
1、音楽は好きだけどやったことがない、楽譜も読めない、始めるのが怖いと思っている人はぜひ明日からでも遅くありませんので、なんかやってみてください。やってみてチャレンジを乗り越えた先には言葉は表現できないものがある筈です。
2、カラオケでも結構、何でも良いから音楽に関心を持って欲しいと思います。何かを始めるのに遅すぎるということはありません。別に今からプロになろうと言うのではなく、人生を有意義にするためです。
3、例えば歌うということ、これほど健康によいものはありません。たくさん息を吸い込みたくさん吐くことが良いのです。
4、明日からと言わず、今夜からでも何かを始めることを考えることをお勧めいたします。
5、才能の有無は関係すること大ですが、誰でもあるところまでは必ず到達します。それから先に抜きん出るかどうかが才能です。プロのなるのではなく、楽しめる程度までなら誰でも到達できるものです。自分で楽しめる才能さえあれば楽しめます。

以上
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