QOL
Dec
24
いつもと同じ朝。
珈琲を淹れて、犬たちを外へ連れ出す。しばらくしてから犬たちを中へ。辺りはまだ暗くてDの姿が見えなくて、呼んでも彼は耳が遠いのでわたしの声は聞こえない。だから暗い中、バックヤードに入ってDを探す。Dはbasementに続くドアの前にあるポーチにいた。Dちゃん、こっちだよー。わたしの姿が見えるよう、かなり近付くとようやくわたしに気付いた。ゆっくりこっちから行こう、と声をかけてDと一緒にバックヤードの緩やかな丘を上る。フェンスのドアを抜け、フロントヤードへ、そしてエントランスのドアへ。Dの呼吸が少し荒い。それでも自力で室内へ戻り、ホールウェイでかがんで休む。良くできたね、Dちゃん。
娘からLINEが届いていた。「おはよう。Merry Christmas Eve! 起きて落ち着いたら電話してくれると嬉しいです。」
その後、娘と2時間近くLINE電話で話した。Dの診断結果についてはもう報告しておいた。彼女にとっては仕事前の時間で、良いニュースではないのにそれを伝えるのは酷な気もしたが、伝えるべきだと判断した。Dは彼女の犬でもある。その日、一日中Dのことを気に病みながら仕事をしたのだろうな。。。
Dは予想以上に悪かった。
簡単に言ってしまうと、「もう手遅れ」な状態。
肺に水が溜まっていて、その原因は胸部の癌だろう、ということだった。今回ばかりは夫の最悪のシナリオが当たってしまった。わたし自身、何があってもおかしくはない、と思ってはいたが、心のどこかで心臓であれば少なくともまだ治療の余地がある、と期待していた。でも、心臓肥大はなく、そして腹部もクリアーだった。この診断は消去法だ。確実に診断するためにはさらに検査が必要となる。でも、それをしてどうなるというのだ、どちらにしろ、治療法がないのだ。
いつもの獣医さんでは検査が出来ず、ペットのERを紹介された。すぐにそこへ向かった。予想以上に大きなところだった。行く前に、自宅によってCを下ろし(彼には留守番してもらった)、ついでに場所をGoogleで調べた。驚いたことにうちの市だけでもいくつかペット用ERがあった。獣医さんに指定された病院もすぐに見つかった。家から10分とかからない場所にあった。
書類は既に送られていたらしく、受付すると「聞いています」と言われた。それでも長い時間、待たされた。大きなところで、診察室は見えるところだけでも6-7部屋はあるようだったが、どの診察室も埋まっているとのことだった。その間、アシスタントによる問診を受け、15分ほどしてだろうか、診察室へ呼ばれた。が、その後、さらに1時間待たされた。Dは最初こそ落ち着かない様子だったが、疲れたのだろう、かがんだ姿勢からついには横たわる形で休んでいた。
若い男性の獣医さんだった。ERだから急性や悪性の症例が多いのだろう、最初から慈愛に満ちた態度で、それは有り難かったが、同時にどこか悲しくさせられ、覚悟を決めなさいと言われている気がした。
検査のオプション(シンプル検査と広域検査)は費用とともに提示された。もちろんあちらは強要はしない、そして推奨もしない。全ては飼い主の責任で決める。わたしは、どちらにせよ原因を突き止めないと治療も出来ないので、と、広域検査をお願いした。検査内容は、とりあえず胸部と腹部のレントゲン(2方向ずつ)と血液検査となった。診断によってはそれ以上の検査をお願いするつもりだった。が、結果的にそれは無意味なものだと判断した。治療法がないのであれば痛い思いをさせる必要はない。
現段階で溜まった水を幾らかでも減らす手だてはないのか、とも訊いてみたが、答えは No. I'm sorry.と。ステロイドを使うという手もあるが、ステロイドを使用すると急変して症状が悪化する可能性が高くなる、という説明もあった。それは過去にも聞いたことがある。今は亡きBの時も同じようなことを言われた。実際、毎朝夕に服用させている全身関節炎の薬を飲ませるのも最近は一苦労だった。ステロイドをのむかどうかもわからない。
There is no right or wrong. と獣医は言った。これも良く聞くし、自分自身も何度か使っている。
Dが安楽であるよう、穏やかであるよう、食べたいもの、食べられるものを与え、苦痛はなるべく最小限に。
自分が冬休み中で本当に良かった。と、心から思う。
夫にはERに連れて行く前から何度かtextで報告していた。気になっていたのだろう、仕事の合間に何度か目を通していたようだ。夫とは、夕方になってから電話で話した。できれば木曜日、無理なら来週の月曜日には帰る、とのことだった。
クリスマスにはいつも義両親のところへ行くのだが、3時間以上のドライブをDに課すわけには行かない。なので実家行きはキャンセルさせてもらった。義母には夫から伝えると言うのでお願いした。変な話、義両親へのプレゼントを実家に配送してもらったのは大正解だった。冗談で「行かなくなることもあるし」とか言っていたのだけれど、まさかこんな形で実現するなんて。
今夜はクリスマスイブのミサがある。さっき調べてみたら 8:30 - music, 9:00 - mass, となっていた。ああああ、だった去年もこの遅い時間のミサだったんだった、、、と、思い出す。そう言えば去年は姉3が母の着物をスカートに仕立て直したものを履いて行ったんだったなー。