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不思議な一致

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不思議な一致
02/09/2022








昨日、母の命日が近づいてきて花を予約した、と書いたのだが、今日は、父の命日だった。
そして今日は、義父の命日でもある。

わたしの父が亡くなったのは、もう随分前のことで、わたしは6歳だった。
なので、父の記憶はあまりない。殆どない、と言っても良いだろう。おぼろげにある父の記憶は、母や兄、姉たちから聞かされたもので、自分自身のものではないような気がする。
それでも確実に自身の記憶として残っているのは、あの朝、長兄に起こされて病院に向かったこと。兄の車の後部座席の窓から、夜の明けぬ黒い海を見つめていた。
それから、病院の地下、広いホール、足音の響く冷たい床、大きな丸い柱たち、そこで弟と一緒にいたこと。
家のオモテ(と言われる居室)に父の亡骸が横たわっている。母は正座して、さめざめと泣いている。兄たちは少し離れたところで整列して正座していて、兄たちもまた涙していた。弟が声を出して泣いて、兄2が弟を膝の上に抱っこしたこと。それを見て羨ましくなって、自分も泣こうかな、と思った。
お葬式の記憶もある。でもそれは後に写真を見て焼き付いたものかもしれない。
父と、遊んだこととか、何か言われたこととか、そういう記憶は一切ない。
それでも淋しいと感じることはなかった。気がつくと父はもう他界していたので、それが普通だったからだろう。
学校の運動会とか何かの行事で父親が参加するのを見て、少し心が痛んだくらい。それでも父の代わりに長兄が参加してくれた(父親参観日)のは逆に誇らしく感じたりもした。

父は脳腫瘍だった。
良性だったらしいが、診断が遅れ、治療が出来なかったと聞いている。腫瘍が大きくなり、脳を圧迫し、最終的には生命を絶たれた。


義父は膵臓癌だった。
その診断を受けたと聞いた直後、わたしたち夫婦は義父の元を訪ねて行った。渋る夫をわたしが説得した。行けるときに行こう、無理してでも時間を作って行こう。


あ、時間になってしまいました。
続きはまた後で。


・・・

会いに行ったとき、義父はとても元気だった。
以前に比べると少し痩せてはいたが、身体の調子は良いと言っていて、大袈裟に聞こえちゃったかな、と笑っていた。ちょうど、化学療法の1クールを終えて、休止中だった。治療中はやはりちょっとキツかったけどね、と話していた。息子が来てくれたのが、とても嬉しかったのだと思う。夫と義父は、尽きることなく話していた。
わたしたちは、調子の良くなかった老犬Bruceを義両親に預けて、DeweyとCosmoを連れて行った。Deweyはわたしたちが迎え入れる前に色々とあって、人間不信が強く、あまり近付くと吠えたり唸ったりする。そのことは義父たち(義父と義継母)にはしっかりと伝えておいた。彼らもまた犬と一緒に暮らしていたので、良く理解してくれた。自然に、とにかくまったく構わなかったので、Deweyは最初こそ緊張していたが、少しずつ慣れてリラックスしていた。夫と義父が何かの試合を見ながらスポーツの話をずっとしていたときには、いつの間にかふたりの近くに行って、寝そべっていた。それを見て、「この犬はとても、とても、とても素晴らしい犬になる。既にそうだけど、これからもっともっと、素晴らしい犬になる。」と夫に言い、お前はなんて素晴らしい犬なんだろう、と、デューちゃんに言った。わたしは義継母とリビングで話していたのだけれど(Cosmoはわたしたちと一緒にいた)、それが聞こえてきて、心から感動したのを覚えている。デューイのことをそんな風に最初から認めてくれる人間はそうそういなかったので。今でもその時の光景を思い出すと、涙が出てくる。義父は、とても穏やかで、優しい人だった。

義父が亡くなったのは、癌が進行して、ということではなかった。
義継母が言うには、風邪をこじらせて肺炎を起こしたのだそうだ。
連絡を受けたのはわたしだった。夫は仕事で、しばらく連絡がつかなかった。夫と連絡が取れるまでの間、わたしは飛行機のスケジュールを調べ、どのフライトで行けばもっとも早く行けるか、検索していた。
結果的には、飛行機で行くよりも車で行った方が手っ取り早いことが判明し、車で向かった。
娘にもすぐに連絡し、彼女も一緒に行った。


同じ日に亡くなったなんて、、、
そう思ったけれど、そういう話をしたのは、だいぶ後になってからだ。



今日、仕事帰りに花を買った。
父と、義父を偲んで。




夫と娘は誕生日が同じで、わたしの父と夫の父親は命日が同じ。
ジブリの映画(確か「耳をすませば」?)の中で、「不思議な一致だね」というのがあって、それを思い出す。
本当に、不思議な一致だな、と、思う。



















#日記

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