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Give him a knife

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05/03/2022









ある日の職場での出来事。
ドライバーのDが咳込みながらやって来た。顔が真っ赤になっていて、かなり苦しそうだった。大丈夫?と声をかけると、片手を上げて(大丈夫)と応える。が、なかなか咳はおさまらない。喉に何かつかえて窒息か?と思うほど。

本当に大丈夫?と誰かが訊くと、"Ahhh I'm fine!今度は言葉で答えていた。なんだよ、びっくりさせるなぁーもう、とか、死んじゃうかと思ったよ、なんて声も聞こえてきて和やかな雰囲気になったので、私も笑いながら「ここで死なないでー」と言ったら、さぁ大変。彼は、ぐほっほっぼぼぼぼおううううう、、、とさらに咳込み、ゴミ箱に顔を伏せてしまった。

えっ、、、😨


冗談が冗談じゃなくなってしまったのか、、、、と、慌てた自分。だ、だ、大丈夫?ちょっと、、、大丈夫?
駆け寄って、背中を叩こうとしたら、Dは真っ赤な顔をあげて、咳込みながらも笑っていた。やっと治まりつつあったのにmの一言のおかげでまた始まってしまった、というようなことをヒィヒィさせながら言う。ごめん、ごめん、ごめんなさい、苦しかったね、そんなつもりじゃなかったの、でも、本当にごめんなさい!!こちらは平謝りだ。mのことは良く知ってるつもりだったけど、そうでもなかったってことがわかったよ。Dはそう言って笑った。他のみんなも笑いながら、それぞれ仕事に戻った。


そんな中、もう一人のドライバーSがわたしの相棒に何やら耳打ちをし、それを聞いた彼はWHAT!!!!と大声を出して笑い崩れた。しばらく言葉を発せない程、大笑いだ。
後になって教えてくれたのだが、その時、Sはこう言ったらしい。

In my country, we say, "Give him a Knife!."



Sはヨーロッパの某国からの移民だ。母国は長年の内戦で、今も尚混乱は続いている。つい最近、市民権を取得した。お祝いの言葉をかけた時のとびきり嬉しそうな笑顔は彼の心を映し出すようだった。色々な制約があったらしく、待ちわびてようやく取得した市民権だった。


Sはわたしが重いものを運んでいるとすぐにやって来て、こういうことは自分を頼ってくれ、と言う。出来ないことは頼むけれど、このくらいなら出来るから大丈夫、と返すと、いやそうじゃない、なんでも言ってくれ、と言う。

「Sは女性に対してすごく優しい。」
友人のペチュニア(仮名・Sの奥さん)にそう言うと、彼女は、ハハッ!と笑って、外面が良いだけよ、と言ったので、吹き出してしまった。「家では何もしない怠けもの。威張っているだけよ」
俄かに信じられなかったが、Sとの付き合いも3年が過ぎ、だんだんと見えてきた。確かに頷ける部分はある。仕事は仕事、家庭は家庭、という線引きがなされているのだろう。
実は仕事の中でもそういうのはあって、That is not my job.というところは非常に明瞭。自分のするべきことはするが、この先は自分の問題じゃない、という感じ。そして、男性には特に厳しい。笑
同じドライバー仲間であるDを敵対視してる?と思う程、ぞんざいに(冷酷に?)見えることも多い。


そういうわけで、先のDに対する言葉には、思わず笑ったが、笑えないところもあった。まぁでも冗談であることは間違いないので、ここは笑うところだ。笑おう。笑


そう言えば随分前のことだが、Sからもうひとつ彼の国の格言を教えてもらった。

Good people and Stupid people are born from the same mother.



ー深い。












#日記

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