「かにパルサー」@「巨大電波パルス」
Apr
9
理化学研究所や広島大、米航空宇宙局(NASA)などの国際研究チームが9日付の米科学誌サイエンスに発表しています。
パルサーの本体は大質量の恒星が寿命を迎えて超新星爆発を起こした後、残った超高密度の小さな中性子星です。「かにパルサー」は1054年の超新星爆発で生じた、かに星雲の中心にあります。
中性子星は強い磁場やプラズマ(電離ガス)に包まれています。巨大電波パルスやエネルギーが高いX線の増強が起きるのは、多数のプラズマの塊が合体し、大きく成長するのが原因の可能性があるといいます。
瞬間的に届くX線の観測は困難でしたが、NASAの中性子星用X線観測装置「NICER(ナイサー)」が2017年に国際宇宙ステーションに設置されて実現。宇宙航空研究開発機構(JAXA)や情報通信研究機構の電波望遠鏡との連携で今回の発見につながり、電波やX線の放射メカニズムの解明が進むと期待されています。
「巨大電波パルス」は遠い宇宙から強い電波が突然届く「高速電波バースト」の正体ではないかとの見方もありました。しかし、「パルサーの回転エネルギーを起源とする巨大電波パルスと同じ理論モデルでは、X線の放出エネルギーが桁違いに大きく、説明が難しい」と指摘。「高速電波バーストは、中性子星の中でも回転が遅く、磁場が非常に強い『マグネター』から生じる可能性が高まった」ようです。