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「ウォール街占拠運動」とそれを眺めるヤッピー

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「ウォール街占拠運動」とそれを...
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2011_10/america_01.htm
より

2011年10月
   
・ 「ウォール街占拠運動」が全米に拡大―労働組合、コミュニティ運動も合流
   
「ウォール街占拠運動」が全米に拡大
―労働組合、コミュニティ運動も合流

 カナダ・バンクーバーに本拠を置くアドバスター・メディア財団の呼びかけで9月17日の合衆国憲法記念日にニューヨークで始まった「ウォール街占拠運動」(Occupy WallStreet)は、他の都市にも飛び火し、さらに労働組合やコミュニティ運動家も合流し、拡大の一途を見せている。労働問題専攻のマサチューセッツ工科大のトーマス・コーハン教授は、「運動の終着点は不明瞭で、この国の状況を反映している」との見方を示している。

現状に不満を持つ若者が集結
 アドバスターズ・メディア財団は反商業主義、環境問題重視を掲げ、隔月刊誌アドバスターズ(Adbusters)を、全世界で12万部を発行している。このアドバスターズが「9月17日からウォール街を占拠せよ」とするプレスリリースを7月13日に出した(http://www.adbusters.org/blogs/adbusters-blog/occupywallstreet.html)。9月17日はアメリ合衆国憲法記念日である。国内の平穏と福祉、正義、自由をうたう憲法の精神に立ち返ることを示唆している。

 プレスリリースが出されたのち、賛同者がウェブサイト(http://occupywallst.org)とインターネット上のソーシャル・ネットワーク・サービス、フェイスブックのページを(http://www.facebook.com/OccupyWallSt?sk=wall)を立ち上げた。具体的な集合場所や運動内容に関する情報共有の場とするためだ。

 初日の参加者は約1500人と比較的小規模で運動が始まった。アドバスターズは、運動家、作家、教育者、学生、起業家のグローバルネットワークのための組織を自称しており、初期は学生などの若者が中心だった。つまり、労働組合やコミュニティ運動家などが率いた運動ではない。ウェブサイト(occupywallst.org)でもリーダー不在の運動を表明している。

 掲げられる主張は、高額所得者に対する税制優遇措置を廃して、所得上位1%に集中する富を残りの99%に分配することで格差を是正することや、金融関連企業を代表とする企業減税を廃して、介護、教育、医療等への公共サービスに対する予算削減を阻止することなどである。

 9月29日には運動に関する宣言が採択された。その内容は、格差是正から食品安全、平和への要求など多項目にわたる。

 活動はインターネットの動画生中継サイト、ライブストリーム(www.livestream.com)や、動画投稿サイト、ユーチューブ(www.youtube.com)を通じて世界中に発信されている。

 そこでみられる運動の姿は、従来型の労働組合と異なる。参加者は自分の境遇や思いを書き出した手書きのプラカードを掲げる。与えられる印象は運動の手作り感だ。印刷されたプラカードを持つ組織的なデモ行進ではなない。

 音楽との連携もその一つだ。ラップやヒップホップといった音楽とともに、踊りながら行進する姿が目立つ。若者が担っているという印象が強い。オノ・ヨーコやスーザン・サランドンといった著名人もインターネットを通じて支持を表明しているほか、運動と連動してポップ・ミュージシャンがコンサートを開いている。

景気回復の実感のない雇用
 「ウォール街占拠」の背景には、2009年第2四半期に終わったとされる景気後退にもかかわらず、高止まる失業率と、企業から非中核人材と扱われる非正規雇用の増加がある。

 特に、若年層が深刻な打撃を被った。

 16歳から24歳までの失業率は今年4月から6月の平均で17.9%。収入は2009年から1.9%ダウンしている。

 その一方で、55歳以上の失業率は6.7%に過ぎず、収入は5.1%上昇している。10代だけの失業率をみれば25%にも達している。

 政府は、連邦、州、市、郡(カウンティ)を問わず、財政規律重視へと向かい、教育、介護、医療などの公共サービスは切り捨てられる傾向にある。しかし、企業や高額所得者に対する減税が継続し、若年層の不満と将来不安が、アドバスターズの呼びかけで爆発したかたちとなった。

労働組合、コミュニティ運動が参加
 「ウォール街占拠」は、労働組合とコミュニティ運動が参加することでさらなる拡がりをみせている。

 労働組合のナショナルセンター、アメリカ労働総同盟産別会議(AFL‐CIO)のリチャード・トラムカ会長は、9月30日にブルッキングス研究所が主催した「アメリカの雇用と経済の未来」と題するシンポジウムの質疑応答で次のように答えている。

 「労働組合は全国レベル、地方レベルの双方で『ウォール街占拠』に参加している。米国社会において、輸出入バランス、労使の力関係、実体経済と金融経済のバランスなど均衡が必要なものがある。しかし、今や金融経済は実体経済に対してコントール不可能なほどに肥大化している。そのバランスを実体経済に引き寄せなければならない。」

 10月3日夕刻にはニューヨーク市の複数の労働組合が参加を表明し、市民会館に集まった。

 全米運輸労組ローカル100(Transit Workers Union Local 100)、介護・看護労働者を組織するサービス従業員労組1199(1199SEIU)、SEIU Local 32BJ、全米鉄鋼労組(USW)、ニューヨーク市AFL‐CIO、教員連盟(Federation of Teachers)、米国通信労働者組合(Communications Workers)のほか、これらの組合を組織するニューヨーク市中央労働組合評議会(the NY Central Labor Council)が参加を表明している。

 また、コミュニティ単位で労働者の権利擁護や住宅問題、貧困問題等を扱う活動を行ってきたコミュニティ運動と労働組合が連携した活動も「ウォール街占拠」を後押ししている。そもそも、ミュニティ運動が労働問題を取り扱うようになったのは、1990年代になってからである。

 1980年代以降、企業はグローバル経済の中で熾烈な競争を余儀なくされるようになった。そのため、企業経営は中核人材と非中核人材を分けた人事労務管理を行うようになっている。企業は人材育成に、いっそうの投資を行うようになった。しかし、その対象は中核人材に限られる。

 労働組合もまた企業経営に協力することで生き残りをはかった。その結果、非中核人材とされた労働者が、労働条件向上や能力育成などの点で置き去りにされたのである。

 コミュニティ運動はこのような背景の中で、弱者保護の視点から発展してきた。この運動と労働組合の運動を結びつける活動がここ数年の間に生まれてきている。

 その一つに、コミュニティ運動と労働組合の連合体「5月12日(May 12)(http://www.onmay12.org/)」がある。組織名は各組織の運動が結集した日である2011年5月12日から名付けられている。

 その主張は、金融関連企業と富裕層に相応の負担させることによる、不平等と格差の是正、介護、教育、医療といった公共サービスの復活や維持である。組織の活動は、このような要求だけでなく、教育支援、職業訓練支援、労働条件改善、権利擁護など広範囲にわたる。コミュニティ運動や労働組合関係者だけでなく、大学生や高校生も参加する。

 コミュニティ運動には前述のような設立趣旨から、ロースクールや神学部、社会福祉学部の学生など、社会の現状に危機感を覚える若者が参加している。

 労働組合も、従来から金融関連企業や投資家を非難していた。労働組合が企業経営に協力しても、経営判断は投資家への配慮から短期的な財務状況に左右されることが多く、労働組合の交渉力が小さくなる。この状況の打開がその理由だ。

 したがって、「ウォール街占拠」は、リーマンショック以降の景気後退と失業問題に不満を持った若者が突発的に行動したわけではない。その下地は長期にわたって形成されていたのである。

不透明感のある運動の行方
 労働問題の専門家を代表するマサチューセッツ工科大学トーマス・コーハン教授、ニューヨーク市立大学ステファニー・ルース准教授、ウィスコンシン州立大学ジョエル・ロジャーズ教授にコメントを求めたところ、次のような回答を得た。

 まず、ルース准教授は、問題の背景に「失業、借金、貧困などの経済的問題をかかえる国民の大多数に対して政策が機能していないことがある」とみる。そのうえで、「運動に参加している人たちは変化を求めており、この動きは拡大していくだろう」とする。

 一方、コーハン教授は、「雇用創出の上で経済的に失敗した政府、企業、そのほかの組織に対して高い不満を抱えるアメリカ人が今までこのような抗議行動にでなかった事のほうが不思議だ。」としながらも、「運動の終着点は不明瞭でこの国の状況を反映している」と分析し、「判断には数ヶ月を要する」とみている。

 また、ロジャーズ教授は、アメリカ一国だけの運動にとどまらず、金融経済への反対運動はグローバルに広がっていることの一つだと位置づけている。

 「ウォール街占拠」は、ニューヨークにとどまらず、ボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴのほか、国境を越えてトロントにも拡大している。参加する組織は、権利擁護、労働組合、コミュニティ運動、反核、平和、宗教家などさまざまだ。

 情報共有ウェブサイト(occupywallst.org)は、グローバルな活動を進める運動UNITED FOR #GLOBALCHANGE(http://15october.net/)とも連携しており、10月15日に世界的な運動を呼びかけている。

(国際研究部 山崎 憲)
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Occupy TokyoもFBで立ち上がったとか。

この運動の行方が不明だなんてシャレになってないです。

経済危機が何かのきっかけで、世界的に芋づる式に波及する怖さもあります。

先行きの透明性と希望を持てる施策の打ち出し、それに伴う実感が伴わないと収まらないでしょうね。

企業個別的には底を打ったり、上向いたりし始めてますが、それが労働者階級?にまで実感として伝わるには、まだまだ時間が掛るでしょうし、それが労働者階級には来ないという見切りもあるでしょう。

オバマ大統領の再選は、如何なものでしょう。その大統領選を視野に入れた動きなのであれば、対立候補は大成功かも知れません。

写真は、物凄い縮図ですよね。

この人危険じゃないのかなと思いますが・・・
 
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