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はやしたかよし社会保険労務士事務所

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平成22年度 賃金不払残業(サービス残業)是正の結果まとめ by 厚労省

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全国の労働基準監督署が、平成22年4月から平成23年3月までの1年間に、残業に対する割増賃金が不払になっているとして労働基準法違反で是正指導した事案のうち、1企業当たり100万円以上の割増賃金が支払われた事案の状況を取りまとめました。

・是正企業数           1,386企業(前年度比 165企業の増)
・支払われた割増賃金合計額  123億2,358万円(同 7億2,060万円の増)
・対象労働者数            11万5,231人(同   3,342人の増)
・支払われた割増賃金の平均額は1企業当たり889万円、労働者1人当たり11万円
・割増賃金を1,000万円以上支払ったのは200企業で全体の14.4%、その合計額は88億5,305万円で全体の71.8%
・1企業での最高支払額は「3億9,409万円」(旅館業)、次いで「3億8,546万円」(卸売業)、「3億5,700万円」(電気通信工事業)の順

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001rv80-att/2r9852000001s7db.pdf
より
賃金不払残業の是正事例

監督指導の対象となった企業における賃金不払残業の状況及びそれに対する監督署の指導内容、また、その企業において、「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」を踏まえ講じられた賃金不払残業の是正のための具体的取り組みについての事例は次のとおりである。

○ 事例1(小売業、約 200 人、北海道・東北)
・賃金不払残業の状況
会社は、始業・終業時刻をタイムカードにより確認しているとしていたが、監督署が会社の機械警備記録等を調査したところ、タイムカードの最終打刻者の退勤時刻と警備開始時刻に大幅な相違が生じていた。そこで、会社からの事情聴取などの結果、所定労働時間終了後に、労働者にタイムカードを打刻させた後で時間外労働を行わせていたことが確認された。

・監督署の指導内容
監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告するとともに、
①全社的な実態調査を行い、賃金不払残業が明らかになった場合には適正な割増賃金を支払うこと、
②賃金不払残業の再発防止対策を確立し、実施することを指導した。

・事業場が講じた改善の方法
会社は、機械警備記録をセットした労働者だけでなく、全労働者に対して労働時間調査票を配布し、タイムカード打刻後の時間外労働の実績を改めて申告させ、不払になっていた割増賃金を支払うとともに、再発防止のため、本社が、全労働者に文書で賃金不払残業の存在を前提とした会社の収益などは根本的に誤っていることを宣言した。そして、具体的対策として、
①毎日の機械警備記録の開始時刻を入手して、本社で退勤の遅い店舗を把握し、その業務内容を点検する体制を確立する、
②毎月、タイムカードの最終打刻時刻と警備開始時刻の相違を検証する、
③本社役員による巡回指導を行うといった改善を図った。
さらに、各事業所長の自覚を促すため、今後賃金不払残業を発生させない旨の誓約書を徴した。

○ 事例2(旅館業、約 800 人、関東)
・賃金不払残業の状況
会社は、始業・終業時刻を ID カードにより把握している一方で、時間外労働の時間数の把握については、労働者による自主申告書の提出によることとしており、双方の時間数に大きな相違が生じていた。そこで、会社からの事情聴取などの結果、時間外労働手当の支払を免れようとして、管理者がその自主申告書の用紙交付を抑制していたため、時間外労働を行った労働者が適正に自己申告することができず、時間
外労働手当の不払が生じていたことが確認された。

・監督署の指導内容
監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告するとともに、
①これまでの時間外労働の実態調査を行い、賃金不払残業が明らかになった場合には適正な割増賃金を支払うこと、
②始業・終業時刻は IDカードの記録で把握している状況を踏まえ、客観的な記録を基礎として確認、記録すること、今後も自己申告とする場合には、適正な申告が行われているかについて実態調査を実施すること
などについて指導した。

・事業場が講じた改善の方法
会社は、ID カードにより確認した終業時刻をもとに時間外労働の実態調査を行い、不払になっていた割増賃金を支払うとともに、自己申告による時間外労働の時間数の把握を廃止した。その上で、始業・終業時刻、時間外労働等の時間数を ID カードを基礎として把握し、休憩時間を控除した時間数を実労働時間として把握・管理する手法を取り入れるといった改善を図った。

○ 事例3(製造業、約 500 人、関東)
・賃金不払残業の状況
会社は、時間外労働の管理について、労働者が時間外労働の申請書に時間外労働の予定と実績を記入し、上司が押印して承認する方法を定めていたが、時間外労働の申請を行い難い職場の状況の中で、特定の部署についてのみ時間外労働の予定と実績がほとんど記入されていない状況にあった。そこで、労働者の在社時間を監督署がパソコンの記録により確認したところ、終業時刻以降に業務のためのパソコン操作が行われていることが判明した。会社からの事情聴取などの結果、時間外労働に対する割増賃金の不払があることを認めたため、労働時間管理が適正に行われていなかったことが確認された。

・監督署の指導内容
監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告を行うとともに、労働時間管理を適正に行うための対策を講じるよう指導した。

・事業場が講じた改善の方法
会社は、パソコンのログオン・ログオフ記録から実態調査を行い、不払になっていた割増賃金を支払うとともに、社長が、労働時間管理の適正化について全社で取り組んでいくことを全労働者に向けて通知した。
また、その通知の中で、管理職に対しては、
①職場内の労働時間管理は管理職の重要な責務であること、
②時間外労働手当は実際の勤務実態に応じ支給するものであることを、
労働者に対しては、日々の始業・終業時刻を毎日正しく記録することが労働者の責務であることを認識させた。さらに、パソコンのログオン・ログオフ記録を活用した客観的な手法に基づく勤怠管理システムを導入することとするとともに、管理者に対して労働時間管理の方法に関する社内教育を実施した。

○ 事例4(製造業、約 200 人、関東)
・賃金不払残業の状況
会社は、始業・終業時刻をタイムカードにより管理するとともに、時間外労働の時間数の確認については自己申告により行っているとしていたが、工場の生産状況に照らし、日々の時間外労働が僅尐であった。このため、監督署は、夜間の張り込みにより、時間外労働を行っている労働者がいることを調査し、その結果を示したところ、会社は時間外労働に対する割増賃金の不払があることを認めた。

・監督署の指導内容
監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告するとともに、
①労働者からのヒアリングや関係資料等により過去の時間外労働の実態調査を実施すること、
②適正な時間管理を行うための制度を整備すること
を指導した。

・事業場が講じた改善の方法
会社は、全労働者に対するヒアリングにより、過去の時間外労働の実態調査を行い、不払になっている割増賃金を支払うとともに、
①全労働者に対して、労働時間適正把握基準に基づく自己申告(残業申請簿)
の適正な運用を徹底するよう朝礼等の機会で周知するなど、労働時間を適正に管理しなければならないという意識の共有化を図る、
②労務管理担当部署が、月3回、各部門の管理者が配下の労働者の労働時間を
適正に管理しているかを確認する、
③同一部署に時差出勤者が混在している場合、管理者が時差出勤者と時間外労働を行っている労働者を一目で見分けられるように、デスクに目印を表示して管理する
といった改善を図った。

○ 事例5(病院、約 150 人、中国・四国)
・賃金不払残業の状況
病院は、始業・終業時刻をタイムカードを基礎として確認することとし、時間外労働を行う場合には労働者から残業申請書を提出させることとしていたが、多くの労働者について、残業申請書による時間外労働の時間数に比べ、タイムカードにより把握している時間外労働の時間数が数時間から数十時間多かった。そこで、病院からの事情聴取などの結果、当初、資格取得や趣味のため自習で残っている者がいる等申し
立てたが、1ヶ月で 30 時間以上の相違がある労働者も認められ、その理由だけで状況を説明することができず、残業申請とその承認の手続が確実に行われていなかったことが確認された。

・監督署の指導内容
監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告するとともに、労働時間管理が不十分であると判断し、
①労働時間の適正な把握と
②長時間労働の削減を指導した。

・事業場が講じた改善の方法
病院は、タイムカードの打刻時刻と超過勤務命令簿等から実態調査を行い、不払となっている割増賃金を支払うとともに、労働時間の管理について、
①超過勤務を行う場合には、責任者が必要性や緊急性があるか等を判断し、超過勤務命令簿に業務内容や終了予定時間を記入する、
②管理者は、部署により、毎日または一定期間ごとに、タイムカードの打刻時刻の記録を超過勤務命令簿と突合することにより、申請漏れがないかを点検する、
③月の時間外労働は 30 時間までに終われるよう、業務を平準化する、部門間の協力体制を構築する
等の改善を図った。
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注目すべき点は、

1 タイムカードとID等によるセキュリティ記録の乖離
2 タイムカードとパソコンのログオフ記録の乖離
3 特定の部署だけの残業時間の乖離
4 監督署による夜間張り込みによる実態調査

でしょうか。

特に事例1の本社が、「全労働者に文書で賃金不払残業の存在を前提とした会社の収益などは根本的に誤っていることを宣言した。」というのは、不退転の決意のように思えますが、今一つ違和感が拭えません。何故に、それを高らかに宣言なのかなと。当然でしょと。そういう会社のカラーだったのでしょうか。
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