オリンパス
Nov
8
より
オリンパス損失隠し、見えぬ全貌 市場に不信
規模は、追加計上は、資金の流れは
オリンパスは8日午後、会見を開き、過去の損失隠しを認めた。英医療機器メーカーのジャイラスや、国内3社の過去の買収に関わる資金が投資有価証券の含み損などの損失先送りに使われていたことを明らかにした。過去の買収について「適切」と繰り返してきた高山修一社長は「前回の発表内容は間違いであった」と明言。ただ、損失先送りの具体的な内容、金額、開始時期など核心に迫る部分は、すべて「第三者委員会の調査」待ちにとどめた。株式市場の参加者の不信感は払拭されないままだ。
■損失隠しの規模は
先送りした損失の具体的な金額については、第三者委員会の調査中であることを理由に「申し上げることができない」とした。
損失隠しが始まった時期について1990年代ごろからと発表。ただ、「具体的な時期は分からず、調査待ち」とした上で「財テクに走った時代があり、その頃から始まったようだ」との見方を示した。「円高が進むなかで売り上げが伸びず、営業利益が厳しくなっていた」と説明。損失先送りに関わっていた菊川氏ら3人について「それ以前の経営陣から(損失先送りを)引き継いだと認識している」と述べた。損失隠しの規模が明らかにならない限り、オリンパスが過去の決算報告を見直すにしても、投資家はその規模がどの程度なのか想像もつかない。
■損失処理は終わったのか
先送りした損失が現時点で残っているか、今回の事実発覚で追加の損失を計上する可能性があるかも不透明なまま。会見では質問に対し「ジャイラスの追加減損の有無も含めて、すべて第三者委員会の調査を待っている。判明次第、公開したい」とした。株式市場で投資家が再び事業価値を評価した買いを入れ始めるには、損失の全貌をはっきりさせる必要がある。
バークレイズ・キャピタル証券の中名生正弘アナリストは4日付のリポートで「11年3月期末の純資産は1668億円で、うちジャイラスの優先株に関するリスクが約500億円含まれている」と指摘。「優先株の取得が実態を伴わない取引と認定されれば、取得分の約500億円について過年度修正などが実施され、その分自己資本が目減りする可能性がある」と推計している。また今後、事業整理や構造改革を進め、特別損失を計上すれば、それだけ純資産の余力は少なくなる。
■買収資金の流れは
投資家が警戒する買収時の資金の流れについてもまったく明らかになっていない。高山社長は「森(前副社長)の話によると(オリンパスの)外には出ていない」と話したが、今後の調査次第では新たな事実が出てくる可能性は捨てきれない。
高山社長は「全く毀損していない」と強調するオリンパスの事業価値。たしかに内視鏡事業は世界的に高いシェアと技術力を有し、今でも機関投資家の評価は高い。それだけに投資家から事業価値が再び評価されるには、過去の買収を巡る「うみ」を出し切る必要がある。
「8日に日経平均が続落したのは日本株への不信の表れ」(馬淵治好・オフィスセントポーリア代表)という声も聞かれるなか、海外投資家はオリンパスの動向を日本市場全体の問題として注視している。
オリンパス株を巡る経緯
日付 出来事 株価 (騰落率)
10月
14日 マイケル・ウッドフォード元社長を解職
菊川剛会長が社長兼任 2045 (▲17.6)
17日 年初来安値更新、約2年半ぶり安値 1555 (▲24)
19日 ウッドフォード氏に「法的措置を検討」
ゴールドマン・サックス証券などが投資判断を中断
1389 (▲2)
21日 大株主の米運用会社、第三者機関の調査求める書簡送付
オリンパス、第三者委員会を設立準備と発表
1231 (▲6.8)
24日 時価総額3000億円割れ
日証金、オリンパス株に貸株注意喚起 1099 (▲10.7)
25日 米紙「FBIが過去の買収について調査」
東証、オリンパス株を日々公表銘柄に指定 1189 (8.2)
26日 高山修一専務が社長に就任
菊川会長兼社長は取締役に
会見で高山社長「不正行為一切ない」 1099 (▲7.6)
27日 高山社長と森久志副社長が緊急会見
英ジャイラス買収など経緯説明
「証券取引等監視委員会が過去の買収の
開示情報の適切性を調査」 1355 (23.3)
31日 東証、オリンパス株の信用取引の委託保
証金率30%から50%以上に引き上げ
米紙「米証券取引委員会が調査」 1210 (▲0.6)
11月
1日 第三者委員会を設置、元最高裁判事ら6人 1206 (▲0.3)
4日 4~9月期決算発表の延期を公表 1118 (▲6.8)
8日 損失計上の先送りを発表、森副社長を解職
時価総額2000億円割れ 734 (▲29.0)
(注)株価は当日終値、単位は円、カッコ内は前日比騰落率%、▲は下落
-----------------------------------
今年、オリンパスは、競合他社から機密を握る人の引き抜きをしようとしたことに対して、内部通報した社員を報復措置として配転して、東京高裁で配置転換無効、公益通報認定で敗訴してます。
最近では、前々社長のマイケル・ウッドフォード氏を文化の違いを理由に解任。
この前社長が指摘したM&A絡みの資金流出・損失については一切無いということでした。
で、前社長の菊川氏も解任。
さらに、取締役副社長執行役員の森久志氏解職。
常勤監査役の山田秀雄氏は辞任の意向。
株価が3分の1近くにまで落ちました。
トカゲの尻尾切りみたいな流れになってますが、根本的な原因である所の資金の流れ、M&Aの経緯等明らかにしていかないと、厳しい状況でしょうね。
何故に退引(のっぴき)ならないことになったのか説明できないと市場から締め出されてしまいかねません。
内視鏡分野では世界シェア75%という抜群の数字を叩き出しているだけに、残念ですね。
株価は、まだ下がると考える人が多いでしょうかね。
一段落するまで乱高下の高を抜いた状態かも。
Posted at 2011-11-08 17:19
People Who Wowed This Post