職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言 平成24年3月15日
職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025370-att/2r9852000002538h.pdf
1 .はじめに~組織で働くすべての人たちへ~ (問題の存在)
いま、職場で傷つけられている人がいる。暴力、暴言、脅迫や仲間外しと
いったいじめ行為が行われ、こうした問題に悩む職場が増えている。
また、どの職場でも日常的に行われて いる指導や注意などの業務上
のやり取りが、たとえ悪意がなくとも適正な範囲を超えると、時として相
手を深く傷つけてしまう場合がある。
こうした行為は、なくしていくべき「職場のパワーハラスメント」に当たる。
職場のパワーハラスメントは、上司から部下だけでなく、同僚間や部下から
上司にも行われる。つまり、働く人の誰もが当事者となり得るものであること
から、いま、組織で働くすべての人たちがこのことを意識するよう求めたい。
2 .職場のパワーハラスメントをなくそう(問題に取り組む意義)
職場のパワーハラスメントは、相手の尊厳や人格を傷つける許され
ない行為であるとともに、職場環境を悪化させるものである。
こうした問題を放置すれば、人は仕事への意欲や自信を失い、時に
は、心身の健康や命すら危険にさらされる場合があり、職場のパワー
ハラスメントはなくしていかなければならない。
また、数多くの人たちが組織で働く現在、職場のパワーハラスメント
をなくすことは、組織の活力につながるだけでなく、国民の幸せにと
っても重要な課題である。
3 .職場のパワーハラスメントをなくすために(予防・解決に向けた取組)
⑴ 企業や労働組合、そして一人ひとりの取組
職場のパワーハラスメントをなくしていくために、企業や労働組合は、
職場のパワーハラスメントの概念・行為類型(別紙参照)や 、
ワーキング・グループ報告が示した取組例を参考に取り組んでいく
とともに、組織の取組が形だけのものにならないよう、職場の一人
ひとりにも、それぞれの立場から取り組むことを求めたい。
⑵ それぞれの立場から取り組んでいただきたいこと
○トップマネジメントへの期待:組織のトップマネジメントの立場に
ある方には 、職場のパワーハラスメントは組織の活力を削ぐもので
あることを意識し、こうした問題が生じない組織文化を育てていくこ
とを求めたい。
そのためには、自らが範を示しながら、その姿勢を明確に示すなどの
取組を行うべきである。
○上司への期待:上司の立場にある方には 、自らがパワーハラスメン
トをしないことはもちろん、部下にもさせないように職場を 管 理す
ることを求めたい。ただし、上司には、自らの権限を発揮し、職 場
をまとめ、人材を育成していく役割があり、必要な指導を適正に行
うことま でためらってはならない。
また、職場でパワーハラスメントが起こってしまった場合には、
その解決に取り組むべきで あ る。
○職場の一人ひとりへの期待:人格尊重、コミュニケーション、互い
の支え合い
・人格尊重:職場のパワーハラスメント対策の本質は、職場の一人ひ
とりが、自分も相手も、等しく、不当に傷つけられてはならない尊
厳や人格を持った存在であることを認識した上で、それぞれの価値
観、立場、能力などといった違いを認めて、互いを受け止め、その
人格を尊重し合うことにある。
・コミュニケーション:互いの人格の尊重は、上司と部下や同僚の間
で、理解し協力し合う適切なコミュニケーションを形成する努力を
通じて実現できるものである。
そのため、職場のパワーハラスメント対策は、コミュニケーショ
ンを抑制するものであってはならない。
職場の一人ひとりが、 こうしたコミュニケーションを適切に、そして
積極的に行うことがパワーハラスメントの予防につながる。
例えば、上司は、指導や注意は「事柄」を中心に行い「人格」攻撃に
陥らないようにする。部下は、仕事の進め方をめぐって疑問や戸惑い
を感じることがあればそうした気持ちを適切に伝える。
それらの必要な心構えを身につけることを期待したい。
・互いの支え合い:職場の一人ひとりが、職場のパワーハラスメント
を見過ごさずに向き合い、こうした行為を受けた人を孤立させずに
声をかけ合うなど、互いに支え合うことが重要である。
⑶ 政府や関係団体に期待すること
国や労使の団体は、当会議の提言及びワーキング・グループ報告を周知し、
広く対策が行われるよう支援することを期待する。
4.おわりに
この提言は、職場からパワーハラスメントをなくし、働く人の尊厳や人格が
大切にされる社会を創っていくための第一歩である。
この提言をもとに、組織は対策に取り組むとともに、そこで働く一人ひとりは
自分たちの職場を見つめ直し、互いに話し合うことからはじめることを期待する。
職場のパワーハラスメントの概念と行為類型
(職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告より)
「職場のパワーハラスメント」の概念と、典型的な行為類型を以下に示す。
詳細については、当会議のワーキング・グループ報告を参照していただきたい。
【職場のパワーハラスメントの概念】
職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上
の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲
を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行
為をいう。
【職場のパワーハラスメントの行為類型(典型的なものであり、すべて
を網羅するものではないことに留意する必要がある)】
①暴行・傷害(身体的な攻撃)
②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
(過大な要求)
⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命
じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
①については、業務の遂行に関係するものであっても、「業務の適正
な範囲」に含まれるとすることはできない。
②と③については、業務の遂行に必要な行為であるとは通常想定で
きないことから、原則として「業務の適正な範囲」を超えるものと考
えられる。
④から⑥までについては、業務上の適正な指導との線引きが必ずし
も容易でない場合があると考えられる。こうした行為について何が「業
務の適正な範囲を超える」かについては、業種や企業文化の影響を受
け、また、具体的な判断については、行為が行われた状況や行為が継
続的であるかどうかによっても左右される部分もあると考えられるた
め、各企業・職場で認識をそろえ、その範囲を明確にする取組を行う
ことが望ましい。
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つまりは、企業内で指導とパワハラの線引きを共有し、信頼関係・意思疎通を成立させる事が必要です。
最悪のパターンは、業務指導→鬱発症→労災認定→遡及して業務指導をパワハラ認定→賠償請求という図式になります。
また、特定の個人がパワハラを行ったにも関わらず、会社が容認してきたという判断(使用者責任)もあり得ます。
さらに、怖いのは、この程度で?という場合です。
指導の受け取り方も当時の人間関係、個人の精神状況、善意・悪意によって違ってきます。
風土として共通の認識を持つ事が必要なのですが、いかんせん受け手側によりけりなので、難しい問題です。
厳しく指導して、終業後、飲みにいってフォローするといった従来の手法も通じない場合も出てきます。
人は感情の生き物です。個々人の背景や状況も私生活によっても影響を受けます。今までもあった事ですが、より使用者側の責任が大きくなっていきます。
右肩上がりの順調な時代であれば、将来に希望を持てましたのでクリアできた事も多いでしょう。国のビジョンもこの激動の中では、指し示す事も難しいです中で、そのような時代の再来は見込めません。企業の負担・人的リスク等々、厳しい時代になっていきます。
生き抜く事が最大の目標になりましょうか。このような厳しい時代の変革をチャンスと見込めますでしょうか。
何にせよ、諦めたら終わりです!
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