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はやしたかよし社会保険労務士事務所

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リストラ、出向等のトピックス

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昨今、リストラに関わる配転等について御連絡を頂く機会が増えております。
御参考までにリストラ、出向等のトピックスを5つ程抽出してみました。

一般に在籍出向、配転等の人事権は就業規則にも定められており、地域限定や職種限定採用でない限りは、概ね会社の裁量の範囲内です。

以下は、人事権の濫用とされた内容のものが中心です。

争いにならなければ、勿論問題にもなりませんが、争いになった際は下記の一連の判例等は御参考になろうかと存じます。

1.リコーリストラ出向事件 平成24年5月22日の労働審判の要旨
■ 出向に関する主文
申立人らが相手方に対し、申立人らがリコーロジスティック株式会社に出向して同社にて勤務する雇用契約上の義務がないことを確認する。
■出向に関する主文
理由の要旨
出向命令は、技術職から物流における梱包業務という著しい業務の変更を伴うものであるので、会社は全社的な人員効率化施策のスキームと申立人従業員が出向対象となった理由について主張立証を行う必要がある。
しかし会社は、人員効率化施策について充分な立証を行っていない。
また会社は、申立人従業員を出向対象として選定した理由として人事考課について言及しているが、何ら立証を行っていない。
この点を鑑みると本件出向命令は、業務上の必要性が立証されていないので、権利濫用にあたり、無効である。

⇒リコーは、即日異議申立し、本訴に移行し係争中です。

2.米ブルームバーグ通信東京支局 解雇事件
 米ブルームバーグ通信東京支局の男性記者(51)が、「能力不足」を理由に不当に解雇されたとして、地位確認などを求めた訴訟の控訴審判決が24日、東京高裁であった。
 坂井満裁判長は解雇を無効として賃金支払いを命じた一審東京地裁判決を支持し、ブルームバーグの控訴を棄却した。
 同社は控訴審で「国際企業と一般的な日本企業との雇用形態には差異がある」として、解雇は妥当と主張したが、坂井裁判長は「人事制度が一般的な日本企業と異なることについて、具体的に主張していない」と退けた。
 その上で、「男性は具体的な数値によって設定された課題をほぼ達成している」と指摘。「労働契約を継続できないほど重大な職務能力の低下は認められない」とした。

平成25年4月24日 時事通信

⇒人事制度が一般的な日本企業と異なる、雇用形態に差異があるから、日本の法律を逸脱しても良いという根拠にはならないです。

3.公益通報後の出向命令拒否による懲戒解雇
 大王製紙の会計処理の問題を内部告発した後、懲戒解雇された同社元課長の男性(50)が19日、「解雇には理由がなく、違法」として、解雇無効と、同社に330万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状によると、男性は、タイの関連会社に不正経理があることを上司に相談したが、適切な対応が期待できなかったため、昨年12月、金融庁などに告発文を送付した。すると、大王側から今年2月、「会社の秘密を漏らした」として課長職を解かれた上、北海道にある関連会社の事業所への出向を命じられた。男性が拒否すると、今月11日付で懲戒解雇されたという。
 訴状では、「公益通報者として保護されるべきで、降格から解雇までの一連の処分は人事権を乱用した違法行為だ」と主張している。
 大王製紙は「訴状が届いておらず、コメントは差し控えたい」としている。

H25年3月20日読売新聞

⇒これからの推移を見守る必要がありますが、会社側の立場は弱いと思われます。

4.継続雇用制度 再雇用基準の恣意的運用却下
 高齢者の継続雇用制度をめぐり、再雇用基準を具体的に定めた労使協定を恣意的に運用し、再雇用を認めなかったのは不当として、兵庫県の男性が地位確認と賃金支払いを会社に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は29日、会社側の上告を棄却した。男性の再雇用を認め、賃金支払いを命じた二審大阪高裁判決が確定した。
 厚生労働省によると、継続雇用制度は約8割の企業が導入。制度に基づく再雇用が争われた訴訟で、最高裁判決が出たのは初めて。

H24年11月29日 時事

⇒法改正により段階的に希望者全員を65歳まで雇用する義務があります。
現在は61歳までで、それ以上の方につきましては選定基準が有効でありますが、恣意的と判断されればアウトです。

5.オリンパス事件
 社内のコンプライアンス(法令順守)窓口に上司の行為を通報した後の配置転換が裁判で無効と認められたのに、会社側が処遇を改善しないなどとして、オリンパス社員、浜田正晴さん(51)が3日、同社に1500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状によると、6月に最高裁で配転無効の判決が確定したが、オリンパスは配転先から異動させず、子会社への転籍や出向を打診するなどした。現在も仕事を与えられず、昇給や昇進の機会を奪われ、精神的損害を被ったなどとしている。
 確定判決によると、浜田さんは2007年、上司が取引先から営業秘密を知る技術者を引き抜こうとしていると社内窓口に通報。
通報内容が上司に伝わり、3回にわたり別の部署に配転された。
 一審判決は浜田さんの請求を退けたが、二審判決は「必要のない配転」と認定し、オリンパスに220万円の損害賠償を命令。最高裁は同社側の上告を棄却した。
 浜田さんは提訴後の記者会見で「最高裁の判断をほごにする会社の対応は許されない」と話した。
 オリンパスは「本人と調整の場を十数回持ってきたが、合意に至らず時間がかかっている。提訴は非常に残念」とのコメントを出した。

H24年9月3日 日経

因みに、

オリンパス、ウッドフォード元社長と和解 12億円支払い

 オリンパスは6月8日、元社長のマイケル・ウッドフォード氏が英国で申し立てた労働審判について、正式に和解したと発表した。
同社はウッドフォード氏に1000万ポンド(約12億4500万円)を支払う。
 ウッドフォード氏は、損失隠し事件に絡む社長解任が英国法に違反する不公正な解雇だったとして、今年1月に英国労働審判所に審判を申し立てていた。
5月29日付けで和解に合意し、8日に取締役会で承認した。
 和解に基づきウッドフォード氏は労働審判の申し立てを取り下げ、同社はウッドフォード氏に和解金として1000万ポンドを支払う。
「労働審判の長期化による訴訟費用、人的資源の負担の増加と、これによる業務運営に及ぼす影響などを総合的に勘案し、和解が最善の利益となるものと判断した」としている。

H24年6月8日 ITmedia

⇒心証悪いですね。
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