何とも満ち足りた気分になりました。
この本を読んでいる間、珍しくヒグラシの音色がしていました。
昨夏の京都を思い出しました。
『金色の野辺に唄う』
青すぎるほどに青い空の下、金色に輝く稲穂に葬送の列が行く野辺送り・・・
人々の頭上を舞う赤蜻蛉・・・遠くで聞こえる百舌の声。
小さな少女のわたしは、ほとんど口を聞いたこともないずいぶん年上の男に恋をしていました。初恋です。
その男の葬列を遠くから手を合わせて見送っていました。
装丁の画がこの作品に調和している出来栄えです。
『金色の野辺に唄う』 あさのあつこ・著 小学館
内容(「BOOK」データベースより)
山陰の静かな山あいの町で、九十を超えた老女・松恵が息をひきとろうとしていた。
看取るのは、松恵の曾孫で絵心を持つ中学生・東真(あずま)、松恵の孫に嫁いだ元OL・美代子、
近所の花屋店員・史明、
松恵の娘で稀な美貌を授かり持った奈緒子。
四人ともかつて松恵に受け止められ、救われた過去があった―。
屈託や業を抱えながらも、誰かと繋がり共に生き抜いていくことの喜びを、晩秋の美しい風景の中に力強く描き出した連作短編集。
キーワードは・・・
◆松恵の曾孫・東真(あずま) 焔のような庭の柿の実
◆松江の孫に嫁いだ元OL・美代子 天色の空、百舌の声、・・・「美代子さんは珠を持ってるんや」
◆近所の花屋店員・史明 耳奥に響いた美しい硬質の音、肉の甘露煮と白いご飯
◆松恵の娘・稀な美貌を授かり持った奈緒子 101本の竜胆、樟脳(楠)の匂い、いろとりどりの手毬が遊ぶ柄の晴れ着
昭和の匂いが満載です。
松恵さんは、夫が息をひきとるときに辛い言葉を聞かされました。
それが焔のように燃えています。
それにしても、満ち足りた心地よい気分に浸る本に出合えました。
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Posted at 2011-08-26 17:58
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Posted at 2011-08-27 03:02
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Posted at 2011-08-27 00:51
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