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BCA土曜学校のコラムVol.56 〜令和〜
日本では、5月1日に皇太子徳仁親王が即位され、元号が「平成」から「令和」に改められました。
西暦で生活しているアメリカの皆さんには馴染みのない元号ですが、日本人にとっては生涯に一度か二度しかない貴重な節目となりました。
それに伴い今年のゴールデンウィークは10連休となり、学校も職場も今日から新元号「令和」でのスタートです。
新元号は西暦645年の大化から数えて248番目ですが、今までになかったことは天皇退位に伴う改元は憲政史上初で、新元号が皇位継承に先立って事前発表されるのも初めてだと報じられています。
「令和」は、万葉集の巻五、梅花の歌三十二首の序文、「初春の令月にして気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭(らん)は珮(はい)後の香を薫らす」から引用されました。元号は今まで中国の古典を出典としてきたので、漢字が日本の古典から漢字が採用されたのは初めてということです。
「令」は、深い儀礼用の帽子(冠)とひざまずいている人の象形から、人がひざまずいて神様のお告げを聞くことを示す文字で、上位の人の「みことのり・いいつけ」の意味を持ちます。命のもととなる文字でもあり、神のお告げを受けその意に従うことから「よい・立派」の意味もあります。
・令嬢(貴人や他人の娘を敬って言う語)・令息、令子(他人の息子を敬って言う語)
・令室(他人の妻を敬って言う語)・令聞、令名(良い評判)
・命令(下位の者に対して言いつける)などの言葉に用いられています。
「和」は、口と禾(のぎへん)「穂先が茎の先端に垂れかかる」象形から、神への祈りの文を入れる器と穂がしなやかに丸く垂れた様子を表すを示す文字で、「やわらぐ・やわらげる・なごむ・なごやか」という意味を持ちます。
・和解、和睦(仲直りすること)・和気(なごやかな気分)・和親(仲良くすること。国と国とが仲良くつきあうこと)・和楽(なごやかに楽しむこと)・平和(不安を感じないで生活できること)など、
穏やかなイメージの言葉として用いられています。
梅花の歌三十二首の序文を書いた大伴旅人は、知識人らしい才能を発揮した歌人で大伴家持の父親でもあり山上憶良とも親交があった人です。万葉集から引用された「令」と「和」の語源にあたり、文学的な美しい言葉だと思いました。
元号が改められた今、日本にもアメリカにも他の国々にもこれからいい時代がくることを心から願っています。
5月4日
4月20日
4月13日
3月23日
BCA土曜学校のコラムVol.55 ~ おめでとう ~
3月で年度がかわる日本では、入学試験や就職試験の合格発表や卒業・進級の時期で、たくさんの「おめでとう」が行き交っています。
喜びごとや祝いごとや成功したこと、また勝利を得たことや新年を祝う言葉「おめでとう」は、日本の素敵なあいさつ言葉だと思います。
「おめでとう」は、形容詞「めでたい」の連用形「めでたく」が「めでたう(めでとう)」とウ音便化した語で、「お」は丁寧の意を表す接頭語です。
丁寧な言い方をする場合には下に「ございます」「存じます」をつけます。
表記は、「御目出度う」「御芽出度う」と書き、目・芽が出ることが喜ばしいという説が一般的ですが、お赤飯のかわりに出産や結婚などのお祝いのお菓子としてふるまった「御目出糖」というおもしろい説もありました。
また、形容詞「めでたい」は動詞「愛(め)でる」の連用形「愛(め)で」に、程度が甚だしいの意味の形容詞「甚(いた)し」が付いた「愛で甚し(めでいたし)」」が変化した語ともいわれています。
「愛(め)でる」は、心が惹かれ、素晴らしいと思ったり感心したりすること。
「甚(いた)し」は、程度がとても大きく、水準以上であること。
この二つを組み合わせて、対象に心惹かれ愛したり感動したりする気持ちがこれ以上になく高まっているという意味を持つのです。「愛(め)でる」もとても美しい日本語だと思います。
「おめでとう」は相手に対して言う言葉ですが、相手に喜ばしい出来事があり、その人が喜んでいる姿を見ると自分も心惹かれて幸せな気持ちになりますよね。
「おめでとう」は、相手も自分もそれを聞く周りもHappy になれる言葉。
今週は、BCA土曜学校の卒業式・終業式です。
当日は、心のこもった「おめでとう」と明るい笑顔が校舎にあふれることと思います。
BCA土曜学校の皆さん、卒園・卒業・終業、心からおめでとうございます。
BCA土曜学校のコラムVol.54 ~ 大志~
基礎国語で、書写の学習を行いました。初めての手本は、楷書の「大志」です。
生徒さん達は、始筆・送筆・終筆のリズムと線の太さを筆圧で調整する筆づかいや、中心と点画の組み立て方を意識しながら練習したことで、短時間で持っている力が引き出されました。
左が初めて書いた字、右が学習後の清書です。
「大志」は、「大」きい「志」と書きます。
「志」は、「士」と「心」からできています。「士」は武士の士と同じ形ですが士(さむらい)ではなく、「之く(ゆく)」の略字で、足と出発を表し今いるところから一歩踏み出して行くという意味を表しています。
「心」は、心臓の象形です。心臓は、生命の根源であるとともに思考する場所であるとも考えられてきました。
ですから「志」は、心の之く(ゆく)方向、心の向かうところ、ある方向を目指す気持ち、人生におけるその人の到達目標という意味を持つのです。また、心で思っていることと足の向きが一致してることつまり、心と行動が伴うことと解釈する場合もあるようです。
「志」を含む二字熟語はたくさんあります。
〇志願(自発的に申し出ること。)
〇同志(志を同じように持っている者。)
〇意志(確固として持ち続ける意図や目的。)
〇志向(野心的な計画・非常に高いゴールを持つこと。)
〇士気(物事をしようとする気持ち。)
〇志望(成功に対する願望・大事にしている願望。)等々。
そして、大きな志、将来に対する大きな希望「大志」。
「Boys be ambitious」「少年よ大志をいだけ」というクラーク博士の言葉はあまりにも有名ですね。
土曜学校で日本語を学んでいる皆さんは、将来なんらかの形でアメリカと日本をつなぐ人になるはずです。
心が指し示す方向に一歩一歩足を踏み出して、大きな「志」に向かっていってほしいと思います。
3月2日
BCA土曜学校のコラムVol.53 〜雪の季節〜
天気予報の雪マークは表示されなくなりましたが、奥まった場所や道路わきにはまだ雪が残っているところがありますね。
前回の「雪」に続いて、今回は「雪の季語」について触れたいと思います。
雪は「雪月花」のひとつとして昔から愛でられてきました。俳句に用いられる季語もたくさんあります。
例えば「六花」、むつのははなと読みます。雪の結晶の多くが六角形であることからついた言葉です。「雪の花(ゆきのはな)」「雪華(せっか」「雪片(せっぺん)」なども美しい言葉ですね。
その他、・雪催い(ゆきもよい)今にも雪が降りだしそうな空もよう。
・雪ばれ(ゆきばれ)雪がやんで空が晴れる。・風花(かざはな)晴天にちらつく雪。
・しずれ雪(すずれゆき)屋根や木の枝から落ちてくる雪。
・暮雪(ぼせつ)夕暮れに降る雪。夕暮れの雪景色。などなど趣を感じる季語が多くあり
歳時記を見るのがとても楽しいです。
基礎国語の皆さんに「雪の季語」を紹介して、一句詠んでもらいました。いくつか紹介します。
〇六花(むつのはな) 舌にそうっと 溶けていく
〇こな雪や 手袋におちる 六花(むつのはな)
〇暮雪かな 青黄まじる 美しさ
〇粉雪が 空から落ちる 草の上
〇ひきこもり 雪にかこまれ テレビ見る
〇雪だるま 父と一緒に 心あったか
〇雪散歩 犬の足跡 ついていく
〇蜘蛛の巣に くっつき踊る 六花(むつのはな)
感性の豊かさが伝わってくる素敵な俳句に、気持ちが和みました。
これからは、・雪残る(ゆきのこる)春になっても冬の雪が消えずにあるもの。
・牡丹雪(ぼたんゆき)早春に降る水分の多いふわふわした雪。雪代(ゆきしろ)雪解けの水など、春の季語としての雪を使う季節になります。
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