詩のストレッチ
Aug
13
ベースボールのイチロー選手は
よくストレッチをしているらしい
怪我もせずㅤその柔軟な活躍はひとびとを感動させる
なにもストレッチが大事なのはスポーツだけではない
もちろん詩にとっても必要なものだ
いつでもどこでも言葉を柔軟にしておくことは
描く世界をひろげるためには必須である
はてㅤそれでは言葉のストレッチとは
なるべく感情を入れずに風景や状態を
声を出して言ってもいいし
心の中で言ってもいい
例えば今のわたしの状況だと
頭の上 ㅤ扇風機ㅤゾーゾーと音
風がきたㅤ風が行ってしまう
風がきたㅤ風が行ってしまう
風がきたㅤ風が行ってしまう
カーテンが揺れるㅤ足をくすぐる
外から車の音ㅤザーㅤザー
肩がこるㅤ起き上がる
右手にタブレットㅤ左手まわす
左手にタブレットㅤ右手まわす
左手にタブレットㅤ右手のコップ
タブレットを置きㅤ暑いと叫ぶ
こんなふうになんでも良いので言葉が柔軟に動けるように
作品を認(したた)めるにはストレッチが重要だ
では本番ㅤ行ってみよう
頭の上ではお前に風などやりたくない
扇風機がゾーゾーと電気用語を話す
僕は通訳がなくてもわかってしまう
それは言葉のストレッチをしているから
詩的なイメージがすっと入ってくる
それは詩を書くものにとって特別なことではない
カーテンが足をくすぐる
おいおいまたかよㅤって思うんだけど仕方ない
風の命令だってことは知っているんだよ
僕と遊びたいのは風だってことも知っているんだ
風の声がわからないのなら詩なんて書けない
君もそう思うだろう
外から車の音がザーザー
起き上がれよダラダラ人間
そんなヤンキー語が聞こえる
それじゃ休日をエンジョイするか
立ち上がり
右手にタブレットㅤ左手まわす
左手にタブレットㅤ右手まわす
左手にタブレットㅤ右手にコップ
一杯の水を飲み
燃えすぎなんだよ太陽ㅤって叫んだ
今日も猛暑
それでも出かけよう
カラダが鈍ってしまうしな
タブレットをカバンにいれ
玄関を開けたら地面から熱気が
ようこそ夏地獄へㅤって笑っていた
まあㅤこんな感じかな
詩の柔軟性を活かすには
言葉のストレッチが大事だってことだ