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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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墓の声

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太陽が被せた暑さ
ラップされたところにつく
熱い水滴のように
私はここから逃げれない夏

親父の墓参り
お盆だというのにお寺には人気がない

本堂のふすまからは「よう!」って
仏像が手を上げ挨拶するくらい
猛暑による閑散かげんなのか

太陽が真上にある時に手を合わせる私が
世間との時間がズレているのか
たぶん思考行動の脳内時計がイカれている
望んでイカれているのは薄々ㅤ実感あり

ひとがいない静かなところに聴こえる声が
無性に好きだったりする

私だけが聴いている砂利の音
私だけが聴いてる水を垂らす音
ひとがいないと自然とボリュームは上がる

寺の脇にある広げられた墓地の敷地に
親父の墓がぽつんと離れに佇む

引っ越して家を建てたときもそうだった
周りには草が茂る空き地ばかりだった
今では四方ご近所の家に囲まれている
ここもそうなるのだろう

それがなんだか親父らしい
いつの間にか主のように俺が歴史だ
なんて語り出すのだろう
そんなに自己愛もないくせに

俺が亡くなったら適当に散骨してくれ

そういう親父に私は

亡くなった者はいいけど残された者に
手を合わせるという文化の否定しているみたいだな

なんだか嫌味な息子だなと自分で思った
ただㅤ存在した価値を決めるのは残された者で
自分でそれを決めないで欲しかった

あんたは立派だったよ
そう手を合わせる具現物が欲しかった

数ヶ月すると親父は寺に墓を建てていた
敷地を広げられた墓地にぽつんㅤと

おっㅤ来たか
相変わらず時間の使い方が下手だな
暑いから俺のことはいいからすぐ帰れよ

親父らしいなあㅤわかったよㅤありがとう

ひとがいると聴こえない
そんな親父らしい声が聴きたくて
私は太陽に被された中
手を合わせㅤ頭を下げてㅤ汗を垂らした

#詩

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