雨はどこからどこへ…… どしゃ降りの中へ 僕はそこが落ち着ける場所のように ビニール傘の雨音を聴いている 誰もいないアスファルトの上 やはり僕はひとりなんだと けっきょく図書館へ向かった 詩は書くけど ひとの詩はほとんど読まない なぜだろうと考えひとつの答え 身を投じないと見えてこない世界 僕はとてもそれに疲れてしまうから しかし 今日は詩集だった 雨の悪戯なのか ただの気まぐれか 奈良少年刑務所詩集 『空が青いから白をえらんだのです』から (詩・受刑者/編・寮美千子//長崎出版) ひとつの作品 ゆめ ぼくのゆめは…… 僕はこの詩に…… しばらく口が塞がらなかった 少年を取り巻く人間関係 家族や社会との関わり 具体的なことは何ひとつわからない それでも如実に気持ちを表現していることの驚き とても弱く白くまっすぐに語りかけてくる 僕もこんな詩が書けたら…… そんなことを思いながら図書館を出て 雨の行き先に沿ってどこまでも歩いて行った
Posted at 2016-08-19 20:48
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