雨粒が落ちると 踊るように土の匂いが舞い いつかどこかの想い出とリンクして 具体的さのない柔らかさに 僕はしんみりとしている 景色をあやふやにしては 引っ込み思案の僕を潤して 人気(ひとけ)を避け 薄暗さと冷たさ ああㅤ雨の憐憫(れんびん)に癒されて どこまでも進みたくなる 誰もが知らない 誰も行きたがらない そんな街を 僕はずっと雨の中を歩いていたい