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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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誰もいない話

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むかしむかしあるところに
誰もいない話がありました

なので物語が始まらないと思うでしょうが
強制的に話を続けたくなるのは私の性分
さあさあ、聞いてくださいな

そうです、誰もいなかったのです
もちろんいなかったのは人間

その中に知的生物体っていうのかな
宇宙人はいないってことなのかな

やはり訊いてきました
宇宙人なら人間だという考え方はおかしいです
宇宙人は人間だと思いますか

僕にはわからない

そうでしょ、断定はできないでしょ
ネズミみたいなカラダの知的生命体がいたとしたら
人間だという概念や定義では説明つかないでしょ
まあ、そういうことです

誰もいない世界なので根本的に静かです
腹減った、だの
つまんねえ、とか
ビール飲みてえ、など
騒ぐ声など聞こえないのですから
そう、孤独なくらい静かですよ
時にはそんな世界を満喫するのも良いものです

誰もいないといいつつ
語っちゃう自分がいることが矛盾していると
よくいわれてしまいます

じゃあ、いるじゃん

あなたはそういいますが
実は私もむかし話を聞いているあなたも
存在していないのです

イミフ〜

えっ、意味わかんないって
そうですか、難しいですかね
では、私はどこにいるでしょう?

もう、この話を終わらせてくれよ

もうちょっとですので我慢してください
あなたには私が見えないでしょ
私もあなたが見えないし
お互いどこにいるのかわからないのだから
もう誰もいないということなのです

また、振り出しに戻っているのかよ
だから、どこにもいないって会話しているじゃないか

そりゃ、むかしむかしの話ですから
なんせこの話は百年後のブログへ
投稿されるようになっていますから
そうです、もしかすると
百年後は誰もいない未来になってしまい
ほんとうに誰もいない話は実話になるでしょう

はい?

いえ、あなたではないです

この話を読んでいるあなた

はいはい、隣は誰もいませんよ

だからあなたです

ほう、いたのですね

誰もいないはずなのに……
そうでしたか
誰もいない話をしていたつもりだったのですが
これは嬉しい誤算になってしまいました


#詩

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