おばあさんの ツルさんは誰とでも話す どんなモノとも話す 米屋のじいさんに会えば 今日もお互い生きているね そうかと思えば 鯉のぼりと話している 今日もよく泳いでいるね はあ そうかい そうかい 気持ちいいのか うらやましいの わしもむかしはあんたに負けず 泳いでいたよ 散歩中のツルさん カラスに怒っている ほい ダメだぞ 畑を荒らしたら あっちへ行け クロちゃんや 僕はツルさんがなんだか好きだ どんなモノとでも話せるから とてもやさしいんだと思う この間はあの世にいっちゃた おじいさんと話してた まだかい まだなのかい わしをいつ迎えに来てくれるのかね そうかい そうかい まだおまえさんの準備ができてないのかい それなら仕方ないの 僕は縁側に座っている ツルさんのを見つけると声をかけるんだ ツルさん ほいほい 僕ちゃん となりはいつも空いてるよ 僕はツルさんにくっついて座るんだ 背中が丸くて 顔が丸くて かわいいんだ ツルさん 縁側の板を見つめ ほい こんなところに大きなほくろが あったんだね 長年つき合っていたけど 知らなかったよ ごめんな 僕の落書きの消し忘れと話してた おかしかったけど ツルさん真剣だった この間はあの世にいっちゃた おじいさんと話してた ツルさんの口ぐせは ありがとう ありがとう お天道様 おかげさまで今日もいきいき ありがとう ありがとう 雨の日には ありがとう 雨降り様 おかげさまで今日もいきいき ありがとう ありがとう ツルさんに一度聞いてみたんだ ツルさん どうしていろんなモノと話すの 僕ちゃんだって オモチャと話すじゃろ それと同じだよ そういっていた そんなツルさんのことを お母さんはいっていた ツルさんは生き仏なのよ 僕はお母さんがいうことは よくわからないけど ツルさんがいるだけで なんだかほっとできるんだ 僕はツルさんがとっても好きだ だから ありがとう ありがとう おかげさまで今日もいきいき ありがとう ありがとう ツルさん そんな気持ちになる