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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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止まらぬ雨

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太陽を見たのはまだ子どもの頃
あの頃は温暖化の過程を終え
超温暖化へ進み
冬でも三十度を超える暑さだった

インターネットで年配の方が書き込む
季節感があった昔の話を
実体験のない私は知らない

冬に雪が降り
雪だるまをつくったとか

秋には紅葉が綺麗だったとか

春には桜が咲いて華やかだったとか

私が画像でしか見たことのない景色を
幸せそうに語っている

唸るような暑さで毎日のように
道端でひとが倒れては死んでしまう
室内もほとんどエアコンが効かない暑さで
カラダを溶かしてしまうような日常は避けられない
夜に外へ出られるくらいだった

そして
私が十ニ歳の時だった

首都圏を中心にゲリラ豪雨が降り出した
何時もと違っていたのは
激しい雨が緩やかになっても止まなかったこと
降り続く雨は水かさ増し
今では「東京沈没」と言われるようになった

もう十五年も雨が降り続けている

この雨で首都圏の気温は下がり続け
超温暖化以前の気温になり
あの唸るような暑さからは逃れた

しかし
人びとは雨に埋もれた街から
陸のある地方へ移住の地を求めた

それからも私は水との戦いであった
来る日も来る日も雨音を聞き
降り続く雨を観察してはデータをとる

孤独な勤務を言い渡され
高層ビルの五十階にひとり住んでいる
月に一度はヘリコプターで食物が運ばれるが
無人島に暮らしているようなものだ

私は来年度もこの勤務の継続をすることになった
自ら望み契約を更新

家族も雨の被害で失っていた
私の生きる意味はこの雨の正体を知ること
もうそこでしか生きる気がしない

雨具を装着し屋上に上がり
気温を測り
風の向きを調べ
水かさを測り
雨のサンプルを採取

この得体の知れない現象に
私は取り憑かれているのだろうか
答えぬ答えだけを求めながらも
私は今日も生きている

#詩

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