葉蓋点前
Sep
27
タン
タンㅤタンㅤタン
水指に萩の緑が艶る
柄杓の背で水面を掃き
清らかな水を釜へ垂らせば
一掃した日常を
色づけてゆく雨の音
シャッㅤシャッㅤシャッ
シャッㅤシャッㅤシャッ
茶筅通しは
ゆっくりと ゆっくりと
水に馴染む音
侘び寂びの扉は開かれる
炭から奏でる練香の
昔々に遡る喜び
床(とこ)の額紫陽花
今の色
梅雨を楽しむ雲心地
抹茶を溶く器に
浅葱色の薄手
金継ぎされた青磁平茶碗
受け継がれる茶の精神
砕けても七転び八起き
茶碗をまわし
無地にもある表裏
弧を描き
静かに飾る顔合わせ
正客様
一服
目を閉じ
味わう時の旅
梅雨良しとㅤ語り繋げよㅤかたつむり
結構なお点前で
夏釜の広き蓋
閉じる扉は少し開けたまま
湯気は雲となり雨となり
梅雨を愉しむ茶の憩い
*お点前(おてまえ)
*水指(みずさし・釜に水を足すための器・水を入れておく器)
*柄杓(ひしゃく)
*金継ぎ(きんつぎ・割れた陶器の修理を金〔接着材料〕で行う手法)