『俺は夢に勝てるのか』 今回のテーマは、これだぜ。小学生の頃から見ていた夢に出てくるあの怖いヤツ。もしかしたら、もっと前からの話かもしれない。ヤツはいつも俺を追いかけて、足首を掴もうとする。その後どこかに連れて行くのか、そのまま食べられてしまうのか、って夢。でもヤツに触られたことはない。その前に「ぎゃー」と叫び、自分の声で目が覚めてしまうからだ。朝になるとお母さんから「またずいぶんと汗かいたわね、今日は雨だから布団を干せないから困ったわ」なんていわれ、おねしょじゃないんだからいいじゃないか、そう思うことが度々あった。「とつぜん、なにを語りだすんだよ」って、君はバカバカしいこの詩だかなんだか分からない字の羅列を拒絶してしまうかもしれない。だけど俺は語らずにいられないから仕方ない。我慢して読んで欲しいくらいだけどさ。まあ、どうでもいいや。俺は、勝手に進んで行くよ。 そうそうテーマに戻ろう。『俺は夢に勝てるか』ってことなんだけど、もう分かっていると思うけど、その夢って希望とかの夢じゃなく寝ている時に見る夢のことだぜ。俺はどうやら夢の中で、恐怖による脅しを受けると変貌し、自分の穏やかな性格(?)がトゲトゲになって攻撃的になることが分かった。それっ、キレるって感じかな。でも、さすがに小学生の頃はそれを発動させることはなかったから苦しんだ、ってことはあったんだけど。 ちなみに俺は、学校をサボり気味の十七歳。この間も朝からダルダルだったから午後から学校に行ったんだけどさ、駅からとぼとぼ歩いて校舎にたどり着くと「おい、今日の授業はもう終わりだぜ。お前、やる気ねえなあ、相変わらず」なんて、校舎から出てきたクラスメイトにいわれたよ。なんと昼で授業は終わりでさ、仕方ないからそいつの下駄箱に「やる気満々!」って、マジックで落書きして帰ったよ。たくっ、よ。 おっと、脱線してしまったぜ。今回のテーマ『俺は夢に勝てるのか』の話に戻すよ。その結果は、さっきもいっちゃった感じがするけど昨日、夢に勝っちゃたんだなあ。十年以上もあの怖いヤツに苦しめらてきたけど、もういつ来てもいいぜ。カモンって、感じさ。 さあ、ここからが本番。もしかして君、寝ていないよね。「うおっー、起きろ!」って、叫んでみた。それで、昨日の夢の舞台は学校の教室、それも夜で電気がついていない。月明かりの薄暗い感じ。怖くなるような演出で迫ってきているみたいだけど、怖いって感じがちっともしない。授業を受けるためなのか、椅子に座っている生徒たちが五人。はいはい、こいつらが怖いヤツだ。今まで恐怖を与えながら追いかけてきたロクデナシだ。そして、俺は初めてヤツの後ろ姿を見た。ん〜なんだかウケる〜、今日は追いかけられるどころか俺がヤツらの背後にいる。そうそう俺は精神的に強くなったんだ。だてに十七年も生きてないぜ。もう支配されやしないし、この世界が夢だってことも薄々分かっているし、現実を取り巻く社会と夢が連動していることもすでに分かっていた。今までビビって負け続けていたけど、やってやるぜ。もう、俺はキレまくっているし、今までの仕打ちを百倍返ししてやる。まず、お前からだな、なんでもこいや。俺は窓側に座るヤツの顔を覗いた。えっ、えっ、なんだよ顔がねえじゃん。それに全身がすぐ消えちゃってさ、すでに透明? お前も、お前もか、怖くないねえ、闘わずにあらら呆気ない勝利。やってやった感がゼロだぜ。なんだろう、今までの苦悩を考えると空くなるようなこの感覚。ああ、終わったな〜、ちょっと寂しいくらいだぜ。正直にいうとそんな感じ。 結句、同じこと再三いうけど『俺は夢に勝った』、そういうこと。「はいはい、そりゃ良かったね」って君、今いったね。はいはい、良かったよ。今度は、君の夢に俺がすげえ特殊メイクで参上するから覚悟しておけよ! 世界地図を描くことになると思うぜ! ふっ、じゃあ、おやすみな!