終始の恋
Nov
5
余命三ヶ月の俺に言う
あんたは死ねていいじゃないかと
俺の悔しさの向こうにある
青く尖った夜空
彼女の苦しさの向こうにある
赤く鈍い朝焼け
今、生きている互いの歩幅
途轍もないものに潰されながら
ふたりはビニール傘の下
引き寄せる運命
歪な恋のキスは特別でもなく
俺の突起した恐怖と
彼女の窪んだ怒りが合わさるだけ
理由なんてないのさ
頬を叩いても罵声をあげても
俺たちは生きていて
どうして生きているのか
その答えはいつもわからなくて
俺は最期に言うだろう
なんか生きているよ、って
彼女を感じて微笑むよ
彼女は目を閉じた俺に言うだろう
勝手に死ぬんじゃないよ、って
そして、涙を流すだろう
俺はそんな彼女が好きなんだ
なんか生きているよ、今
ああ、まだ生きている
Posted at 2016-11-05 21:47
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