別れ際 右にずっと曲がってね 私はずっと左に曲がるから そう君に言われた たぶん 僕と距離を置きたいんだ それから僕は言われた通り 右に曲がる人生を送り 君はきっと左に曲がる人生を 送っているのだろう ふたりは 違う景色を見て歩いた 君のいない人生は 寂しくて 味気なくて 辛くて 苦しくて でも そんな日々が教えてくれた 僕は自分の満足のために 君を好きになって どうしようもない男だったんだ やっと気づいた 君の幸せを思えることが 好きだということなんだ よし きっと君を幸せにしよう 君の笑顔のために生きて行こう そうだ 世界は広いけど ずっと僕が右に曲がっていれば 元の場所にもどり ずっと君が左に曲がっていれば 元の場所にもどるだろう そして ふたりは再会するに違いない 僕はそれまで 君を幸せにするため たくさんの勉強をしながら こころを豊かにしようと ずっと右に曲がりながら 人生を送った ……そして五年が経ったある日 いつものように右を曲がっていた 角を通りすぎるところで 柔らかい誰かとぶつかった 大丈夫ですか お怪我はないでしょうか 僕は慌てて言った すると 大人になったみたいね 君が微笑んで 目の前にいるのだから びっくりしてしまった そして僕は ずっと君を幸せにするよ そう伝えたんだ すると君はこう言ったんだ 一緒に幸せになりましょうね と