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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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ふたつのインナーチャイルド

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三歳まで遡っていた
夢から覚めると
それは半世紀前の記憶に気づく

父は他界して
大人たちが楽しそうに
精霊船を造っていた

小さいわたしは
そのまわりで遊んでいる

「子どもは無邪気なもんだ」

そんな声が聞こえてきた
わたしがとても悲しいことに
気づいてくれない
三歳でもこころは泣いていた

わたしはその時に
「あーちゃんのつらいね」
そう言って抱きしめて欲しかった

今も満たされない
ひとつのインナーチャイルド



小学五年生の頃
私をいじめる男の子がいた

その子は転校生で
なぜか私の悪口を言ったり
持ち物を隠したり捨てたり

どうしてなんだろう
考えてもまったくわからなかった

いじめが辛くて辛くて
毎日が嫌な思いでいっぱい
とても悲しい想い出は
大人になっても
心のどこかを抓っていた

そして先日
男の子がわたしをいじめる
理由がわかった気がした

男の子は母子家庭
わたしも母子家庭
運動が好きだという共通点
お互いが心が寂しく空洞化した日々

そう
ふたりはとっても似ていた

男の子は自分が嫌で
似ているわたしを
いじめていたことに気づく

何十年も引っかかっていた
わたしのふたつ目のインナーチャイルド

知ることができると
すこし雪どけをして心が流れて

#詩

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