最近は明治頃に発表された詩作をおもに図書館で拝読。ハマっているのは島崎藤村。本名は春樹らしい。島崎春樹、いいのに。島崎藤村(とうそん)を子どもの頃は「しまざきふじむら」、だと思って苗字苗字みたいだなあ、なんて思っていたけど。。。やはり、藤村は言葉の使い方が綺麗だ。三角眉に丸眼鏡だが、容姿と作風のギャップもまた面白い。ああ、怒られそう。誰に? では、著作権も切れているので作品をアップしてみよう。 白壁 たれかしるらん花ちかき 高樓(たかどの)われはのぼりゆき みだれて熱きくるしみを うれしいでけり白壁に 唾にしるせし文字ならば ひとしれずこそ乾きけれ あゝあゝしろき白壁に わがうれひありなみだあり 望郷 寺をのがれいでたる僧のうたひしそのうた いざさらば をこの世のわかれぞと のがれいでゝは住みなれし 御寺の藏裏(くり)の白壁の 眼にもふたゝび見ゆるかな いざさらば 住なば佛のやどりさへ 火炎の宅(いえ)となるのを なぎさめのなき心より 流れて落つる涙かな いざさらば こころの油濁るにも ともしびたかくかきおこし なさけは熱くもゆる火の こひしき塵にわれは焼けなむ 藤村は恋に生きるひとなのだろう。恋の遍歴も逸脱的だ。兄の娘とも関係をもってしまうほど。そのエネルギーを綺麗に詩にしてしまうのだか、なんて自己防衛と描写力を備えた才能の持ち主なんだ。好きな人間ではないが、才能は尊敬してしまう。うーん、してやられているのか。。。