束の間の安堵 今日、戦争が始まってしまう そう感じていたから 電車の中では 危機感のない顔が並び どうして周りの人がそんなに 落ち着いていられるのか 不思議だった そんな自分も 仕事へ向かっているのだから 大丈夫だ、戦争なんて起こらない 心のどこかで精神のバランスをとって 小さい頃に 戦争の話を身内から聞いたり テレビなどで悲惨な映像を見ていた それが夢でうなされるくらい怖くて 虫けらのように殺される 次は自分が、と 大人になってその恐怖は 遠いところに行ってしまった しかし再び日本に 黒い空が包み込もうとしている もし自分の守るべき家族が…… そう思うと 小さい頃、感じていた恐怖に さらなる絶望を載せ襲ってくる ボタンがひとつ押されれば すべてが終わってしまう可能性 核ミサイルの脅威 ボタンを押すために核ミサイルを 造ったわけではないだろう 自国に打たれないため、権威を保つため 脆弱な均衡を保ってきたというのか 何かひとつ狂ってしまえば…… その時が今日だと予感した 嫌な予感は外れ 胸を撫で下ろしてはみたものの…… 帰りの電車も 危機感のない顔が並んでいる 今日という日が きっと世間では平和に流れたのだろう そして 私の嫌な予感は続いてゆく 明日かもしれない、と