賑やかだった教室にも 柔らかに落ちゆく陽が射し ひとり僕は窓の外を眺めている いつもの校庭 若葉も紅く染められ 春だというのに暮れてゆく音楽が 聴こえてくる不思議に 僕は此処にいることに溶けて お疲れ様でした 運動部の声が家路へ誘う カバンを背負い教室を出て 階段を降りる足音は 冷たく静かに癒してくれる 校門には君がいて 胸の前で小さく手を振り微笑む 僕は右手を軽くあげ 上手に微笑む顔を探している 何していたの遅かったね 少し怒った感じだけど 嬉しそうな表情で君は僕の顔を覗く ごめんね なんだか窓の外を眺めていたら…… よくわからないけど帰りましょう 君の細く温かい指が絡まり 僕と君も窓の外の景色になってゆく