松脂を塗るその手は とても繊細に優しく動く 顎に挟み込んだ後のひと呼吸も 演奏のように聴こえる 目の前から奏でられる音 それは何処か遠くから 大事に贈られた品のある高音 響きが身体に浸透してゆけば 連れてゆく遠い処へ いつかの何処かの安らぎへ