銅像『詩を書く人』
Sep
16
通り過ぎようとする雲は流れ
僕は背を逸らしたまま止まって
その身体は通行人の掌で叩かれ
逃げ場所のない声は
僕の空洞に揺れながら籠っている
捨てれない日常が飽和したのち
望んで景色は動かない
僕は駅前の隅で
詩を書く人という銅像になった
もう言葉が必要ではなくなり
言葉以前、言葉以上の存在
緑青を疎らに纏いながら
微笑みを真似ては語り出し
声にならない言葉を響かせ
通り過ぎる不条理に
納得しながら今日も止まっている