父の三回忌以来だろうか 久しぶりに兄と会う 独身の兄は昨夜に腹痛があり 虫垂炎ということで緊急手術した 私は今朝、職場である程度仕事をこなし 早退して入院先へ向かった 腹膜炎はなく虫垂の切除だけで済み 立ち上がるときに痛いと言うぐらいで 元気そうであった 病室の窓からは秋桜が一面に広がっている 特にこれと言って話す話題もなく 白髪の増えた兄の後ろ姿が 父親にそっくりだったので指さし笑う なんだ、って顔して兄貴面を見せる その懐かしさにまた笑いが止まらない 相変わらずだなお前は、と兄 お互い様だよ、と私 仲は良くもないが悪くもない ここ三十年で会ったのは数回だけ 話す会話もほとんどないが 間違いなく兄弟である 不思議とこの距離感が自然である それが我々にはベストなのかもしれない