まだ暗い空気に白い息が逃げる 指先、足先、首筋から冷気が握り始め 頸、腰へと私の弱い所へ進む 今朝の励ましは何処に落ちているだろう 昨夜、小説家が愛国精神を持ち政治活動の末に 自決する映画を観ていた 空白な疑問と後味の悪さを引きずり 車窓から薄明るくなり始めた光と陰を追う 子どもの頃、戦争の話を聞かされた翌朝のように 強制された重い苦味を覚える エスカレーターで下り滑って行く 銀世界のスキー場のゲレンデには若者がポーズ 宣伝ポスターに気を紛らせながら思う 私は国を愛したことがあるだろうか