遠くから聞こえる犬の鳴き声 開いたままの本が 風でページをめくる音 実家の静けさの中で 懐かしく透明に響いてくる 動くことを遠ざけた身体は 余計に硬くなってしまうから そろそろ立ち上がろう、と 線香の匂いが流れ パイプ椅子を運び入れ 昨日、テレビで紹介していた ストレッチに汗をかく すでに休み明けの勤務を想像して なんとか来週もやっていける、と この怠さを前向きに考えている そしてまた横になり 母親の不安話しと幸せ話しを聞く まったりと時間が過ぎてくる ああ、俺はここで育ったんだな 母ちゃん、腹へったよ