「まさか」の 鋭利たちが刺さり 夏の肺は 黒い空を白く 身近に死を浮かせ 家族の過去と 未来に今を 詰まらせていく 軽症の私は 先に隔離解除され 玄関の向こうで 足枷が照り返しの 風に解かれ 苦い汗が滴れる まだ高熱が続き 酸素を欲している家族 この雲が どうか消えますようにと 祈り見上げている (家族たちは通常に戻りつつあります。お世話になった医療従事者に深く感謝いたします)