沁み線
Apr
6
とくに故人様へ
線香を焚いているわけではなく
その煙と香りを楽しむために
作業台の片隅に一本が立っている
娘には線香くさいといわれ
最近はフルーツの香りがしたり
甘いキャンディやコーヒー牛乳の
香りがするものを焚いている
線香の箱には最後の一本
若い頃 タバコを吸っていた時のように
最後の一本に不安定な気持となり
インターネットで次の線香を注文する
自分のために線香を焚いているが
たまには故人様へ手を合わせないと
バチが当たるのではないか
仏様に見られている気がして
少し疲れているのだろうか心が
そこに線香の煙と香りが沁み込んでくる
生きている己に今日も癒しの一本は
何処かに繋いでくれるのだろう