大人、弟
Apr
9
とても大きなレストランにいる。
イベント会場のように広い。沢山の人がいて、皆、嬉しそうにしている。給仕をしている人たちもどこか楽しそう。
奥のほうに義兄がいて、こちらに向かって手を振っている。「コッツ、コッツ」と言っているのだと思う、聞こえないけれど(義兄は東北弁が時々出るのだ)。
わたしは遅れて到着した。なぜ遅れたのかはよくわからない。姉1と娘がわたしのことを待っていてくれた。でも、満席になってしまっていて、どうもわたしたちは一緒には座れないらしい。母の姿も見えた。姉2,3も義兄家族と一緒にいる。一緒に座れないのは残念だ。姉1は、いいよいいよ、わたしたちは別席にしよう、と明るく言う。
テーブルに案内された時、バッグもお財布も何もかも持って来ていないことに気付いた。あ、、、なんてこと、、、姉は優しく「いいよいいよ」と言った。娘は「もう、大の大人なのにだらしない!」と口を尖らせて言った。ごめん、姉ちゃん、、、、「いいって、いいって。最初からこっちが持つつもりだったんだから」
なんで遅れちゃったんだろう、なんで忘れちゃったんだろう、、、そんなことを考えながらも、何を食べようかな〜!と、メニューを眺めた。
・・・
母の遺産整理の手伝いをしている。
生前の色々を書類にまとめなければならないとかで、教会の歴代主任司祭を遡って書き留めることになったのだが、過去の神父さんの顔は覚えていても名前が思い出せなかったり、就任時期が前後してしまっているような気がしたりで心許ない。かなり短い期間の神父さんもいたよね、あれは誰だっけ?そんなことを姉たちと話している。
教会(に保管されているであろう)記録とわたしたちの書類とが合致してなかったらどうするんだろう?確認させてもらうことも出来るんじゃないかな?
そんなことを思いながら、荷物をまとめ始めた。
弟も同じ便で帰るらしい。彼は小さな手荷物だけであっという間に準備万端だ。
姉2とバスの時間を確認に行く。今からだと6時半か?えーじゃぁ帰り着くのは夜中か、、、と、げんなり。
とりあえず早く荷物をまとめよう!
でも、いざ持って帰りたいものをピックアップし始めると、これがもう大荷物だ。スーツケースに入るのか???
こうやって見ると、クリスマスものばかりだ。思い出のある品ばかりなので、どうしても持って帰りたい。でも、こんなものを?という気持ちもある。
スーツケースはガラクタのようなものでいっぱいになった。荷物が荷物なだけに、重量的にはそれほど重くはない。姉2が「これもでしょ?」と持って来たのはなんだか懐かしい気がする「寝袋」だった。紫と緑色で、クリスマスツリーと夜空に光る星々の絵が描かれている。欲しい!けど、、、入らない、、、、!!泣く泣く、それはまた次回に、、、と決意する。
弟が、まだかいな、と大袈裟に嘆かわしく言う。そうだ、もう行かなきゃ、、あっ6時半に間に合わない!!
いつの間にやら来ていた伯母さんが、誰も車で送って行かないのか?と言う。姉は「いや、今日はこれから用事があって。大丈夫、バスは30分に1本出てるから」と答えていた。そうだ、いつもなら空港まで誰かが送って行くんだった、、でも今日はバスなんだ、、とあらためて思い出し、なんだか悲しくなる。でも弟が一緒だからいいや、一人じゃない。
スーツケースの中にANNA SUIの腕時計が入っていて、娘がそれを取り出して「マミィ、アナスイなんか持ってたんだ?」と言った。わたしはちょっと誇らしげに、でもそれを見せないように「そうだよ」と言うと、彼女はふーん、、とだけ言ってわたしにそれを手渡した。腕時計なんて何年も何年もしていないのに、なんでだろう?しかもアナスイなんて???
バスに乗り込む時、扉の横に弟の名前が姓名ともに書かれていて、ギョッとする。何?あれ???一番奥の席に座ってから弟にそれを言うと、彼も「見た見た!おかしいよなぁ!」と笑っていた。なんなんだ?
姉2と、姉の生徒たちが「またね〜!!」と言いながら手を振っていた。わたしはバスが発車してから、空港に着いてから〜荷物を預けて〜それから〜と考える。家に着くのは〜〜〜と思って初めて、いや、家ってどこの家よ?と思う。違う、わたし、もう東京に住んでない!わたし、もうこっちに住んでないやん、、、え?どうやって帰るんだっけ???
弟は、わたしの気持ちを見透かしてか、ニヤリと笑って、「自分で考えろよ」と言った。
・・・
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