祖母が死んだと聞いた、その日の夜。
私は小説を書いていた。人の生き死になんて関係のない、颯那智ラブストーリー。
こんなときに、何をやってるんだろうと思いながらも。
驚くほど筆が進んで、それまで行き詰っていたはずの短編を一作、書き上げてしまった。
私にとって、小説を書くことが一種の精神安定剤になっていた。
その数日後。祖母の遺体が安置されている葬儀場でだったか。
数年ぶりに会った、叔父と叔母に言われた。
「ほたるはきっと、小説家になるんだと思っていた」と。
まだ、諦めていないなら。今からでも、叶えてほしいと。
そういえば、祖父母が健在だった頃。
小説家になりたいと話した私を、祖父も祖母も、応援してくれていたっけ。
叔父も叔母も、そのときのことを覚えていたんだと思う。
前の記事で書いた、澪標シリーズの原点になった物語。
思い描いたのは、祖母が亡くなる5年以上前で、もしかしたら、祖父も生きていた頃かもしれない。
もともとの設定は。
タカマ颯太を失って悲しみに暮れるタカマ那智が、夢でもいいからと、中ツ颯太に会いに行く話。
生まれ変わったタカマ颯太が、タカマ那智を見守る描写で終わる物語。
実際に、ネット上に公開する作品を書こうと思い立ったとき。
さすがに、メインキャラを勝手に殺すのはいかがなものかと思い、設定を変えた。
でも。
今いちど、「転生」をテーマにした作品を書いてみようか。
そんなことを考えながら。
琴さんの歌う「四季折の羽」を聴いています。
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