洞窟を出るのは未明になるだろう。 その日の早朝からは、クジラを見に行こうと考えている。徹夜だ。 この時期、慶良間諸島にはザトウクジラが子育てのために集まっているのだ。 僕達は、エンジン船でクジラを追うことを好まない。 カヤックで偶然出会うクジラに期待するのだ。 子育て中の母クジラは神経質で、エンジン船を嫌う。 ある時、座間味島にフェリーが入港し、その音から遠ざかろうとした母子クジラが、僕達のカヤックの目の前でブローした。 「海が盛り上がる」とでも言うのだろうか、突然海面が持ち上がり、続いてしぶきが舞った。 一度潜行した子クジラは、カヤックの真横にもう一度現れた。 僕達のカヤックを見て「何かな?これがイルカなのかな?」と、興味を示したに違いない。その後、座間味村の「ホエールウォッチング・フェスティバル」に足を踏み入れて唖然とした。 クジラを守るとか、どうしたらたくさんのクジラが集まるか等を話し合うはずのこの会合は、「いかに村に観光客を集めるか」「特産品を作ればいい」「いや、豆腐を売ればいい」と訳の分からぬ会合だった。 彼ら(行政)にとっては、冬の時期にダイビング船を有効利用し、村が豊かになること意外は興味がないらしい。だが、人のことはどうでもいい。 僕達は、僕達の信じている方法でクジラ達と出会いたい。 今年もクジラ達は、僕たちのカヤックを見に来てくれるだろうか?役所の発表とは裏腹に、慶良間諸島を訪れるクジラは、年々減ってきているように感じている。
Posted at 2006-02-16 21:22
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Posted at 2006-02-17 06:28
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Posted at 2006-02-18 08:11
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Posted at 2006-02-19 14:00
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