ピアノの響きを突き刺してくれ 小心者の繰り返しに終止符を クレージーな早弾きで 都会の景色が奏でられると コーヒーカップを手にしたまま 街が歩き出し僕を置いてゆく 口をポックリ開けてここに佇むしかない 目の前の奏者は我が世界の中で 芸術の衣に身を任せ 僕をその世界へ手招きしている ピアノの周波数は僕のこころに反響すると 奏者への尊敬なんてどこかへ消え 素敵な集中の顔に見惚れてしまい だんだんピアノの音が深く突き刺してくる もう奏者がピアノなのか ピアノが奏者なのかわからないほど 一体化してゆく奏者とピアノ そこから既成概念を鍵盤で 破壊してゆくエネルギーを発し 僕は孤独に落ちてゆく喜びに ただカラダは冷めたく充実を得ている 現実の緊張は完全に奪われ 薄暗い小さな空間は 芸術のリズムが時間を止め いつかどこかで感じていた安息の地に ミルクのようにエスプレッソへ溶け込んでゆくようだ 脈打つ違和感さえもシナモンに変えて相乗してゆく喜び 日々の痛みを超えた先にある憩いは 僕のフラッシュバックを雨のように降らせて カラダを包みながら ピアノの響きは頭を突き抜けてゆく 深層にある豊かで冷たく輝く場所へ そのクレージーな早弾きで