人が見る背景を消し 俗世界を脱け出す 言葉を捨て 暮らしを捨て 葷酒(くんしゅ)山門に入るを許さず 煤けた馴れ合いの衣を剥ぎ取り 裸の表現者に微塵の躊躇はなし 芸術の道具など要らない 言葉以前の世界で叫びの匂いを感じ 赤子になった全身からは唸りだけが発する 空間の揺さぶる振動は魂を燃やし 塵灰(じんかい)となった生き様 その浮遊した足掻きは風に飛ばされ 詩人は跡形もなく歌い切る 葷酒山門に〜 …葷酒は、心を乱し修行の妨げになるので、寺の門内に持ち込むことは許さない。禅寺の山門の脇の戒壇石に刻まれる言葉。(デジタル大辞典引用) 葷酒 …仏教用語。葷と酒のこと。葷とはねぎの類に属する植物をいい,これらは刺激性が強く臭気があるため,酒と同様に仏教の出家修行者には禁じられている。 (コトバンク引用)