幸せな猫話し
Jan
27
ある日、突然にウチで飼っている猫が巨大化しているのだから、もうびっくりだ。でも、これが現実なんだから普段のように暮らさなければならない。ああ、猫ちゃんのトイレを片付けなければ。「がちょーん、ウンコ、デカっ」いったいなんだよ、このデカさは。俺の大きさの三倍ってところだな。しかも臭いし。どうすればいいんだよ。トイレでは流れそうにないし。とりあえずビニールを二重にして縛った。オシッコは……。「ああ、ダメだ。風呂場で処理だな」。こんなこんなで、いつもこんなに大変だったかな、と思うが「これ、リアル日常だよな」とあきらめる。
「ビヤーン!」、「ガビョーン」と夢と花が俺に近づいてくる。なんだろう、いつもヤバイなんて思ったことないのに、これっ、ヤバイ。ジャレてくる二匹。おっと背中を引っかいている。多分、キズが深そうだ。でも、あまり痛くない。顔面もやられた。ヤバイ、ヤクザみたいになってしまう。二匹が俺を猫パンチで倒し、のっかる。ああ、重たくて息ができない。あれっ、首あたりを齧られている。俺はメスじゃないぞ、夢。おいおい、おいーい。俺を食べるなよ。餌がないからって、頼む、食べないでくれ。ちょっと待てよ。全然、痛くないし、食べられていること自体がそんなに嫌なことでもない。俺は夢と花に食べられている。意外とこれは幸せな終わり方なのかもしれない。幸せな。そう幸せななんだ。
「なあ、夢、花。俺は癒されているぞ!」