一本の木
Apr
27
どこまでも広がる青を知った
たくさんの手が方々に出て
風を抱きしめているつもりが
風に吹かれていたことも知った
それ程までに僕は小さかった
悲しみのお別れも知りました
手元の生きる瑞々しさを吸いとられ
枯れて僕のもとから落ち
それは頬をすべる涙のように
どうしようもなく切なくて
だけど僕は生きて行く
自然に添っていると気付き
救われることを知った
無力なのは仕方ないと諦めた
そんな時代もあったが
今は心持ちが少し変わって……
僕は僕なりにこの景色の中で
とっても小さい存在だが
青に向けて語れば語るほど
たくさんの手が広がり
成長を続けることを知った
喜ばしい自然の中で
景色であることの誇りを持てば
どこまでも大きくなることだろう
そして
いつの日か小さな役目を果たし
静かに朽ちて行く喜びを知るだろう